建築は負の資産であるが、「シェルター」である~住まいの目的を考える~

はじめに

こんにちは。

一級建築士のtakumiです。

皆さんにとって住宅、マイホームとはどのようなものでしょうか。

「住み心地」「快適性」「家族が集える」など、色々な目的があります。

ここでは本来的な目的である「シェルター」として、また建物がもつ「資産」としての住宅の考え方について紹介します。

建物の本来の目的、性質を施主であるあなたが確認することで、より良い家づくりになっていくものです。

建築はシェルターである

ひとつは建築物は「シェルターである」という考えです。

建築学科の学生なら、一度は習う言葉なんですよ。

建築の本来的な目的です。

雨風をしのぎ、安心して暮らせる場所であるべきという考えです。

雨風以外にも地震、台風、雪、暑さ、寒さなどから身を守ることができる場所でなければなりません。

このような、本来的な目的を果たせるよう絶対に「欠陥」や「瑕疵」があってはいけません

地震や台風、大雨にも耐える、しっかりした地盤と構造体、そして必要な機能を備えた仕上げ材があってこそシェルターです。

安全で安心して住めなければ意味が無い、ということです。

もちろん、建てる土台である「土地」についても同様です。

地震、浸水、地盤沈下など、安全な住まいのためには、「災害に強い土地」が必要であり、場所の選定もかかせません。

資産としての価値

もうひとつは資産という考えです。

建物は建てる時に大きなお金や労力が必要です。

そして、新築の時がその資産としてのピークで、経年とともにその資産価値は下がっていきます。固定資産税を算定する際の「評価額」がそうですね。

維持していくのにお金がかかることは、資産としてマイナスの部分です。負の資産という考え方です。

建てた瞬間からお金がかかる不動産を面倒見ていかなければなりません。

固定資産税を払うこと、経年により設備や仕上げ材が古くなり、やりかえていく必要があること、冷暖房費がかかること。

これらはマイナスの資産の要素です。

このようなマイナス要素の影響を、いかに減らせるかというのは、

「断熱性能」、「耐久性」、「防水性」また将来の住まい方の変化に対応できる「柔軟性」によるといえます。

光熱費をなるべく抑える断熱性、

長持ちする建材、

雨漏りしない構造、工法、

ランニングコストをどれだけ抑えられるか。

資産として、余計な費用がなるべくかからないよう、計画時点から配慮できる所は考えておく必要があるということです。

まとめ

このような二つの考え方に、

「住み心地」や「快適性」、そして「遊び心」

といったあなたの付加価値をつけて考えていくことになります。

家づくりはどうしても「間取り」や「意匠性」に凝ってしまいがちです。

忘れてはならないのは、建物本来の目的が「シェルター」であること、そして「資産」としての負の部分を、どれだけ軽減できるように考える必要があることです。

・シェルターである⇒安全に暮らせる

・負の資産の側面を減らす⇒ランニングコストを抑える計画

をきちんと考えましょう。

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