家づくりは「基礎」にも注意!~基礎の構造や巾木の仕上げ

こんにちは。

建築コンサルタントのtakumiです。

今回は「基礎」についてのお話になります。

基礎って、何となく大事なのは分かりますが、骨組みの構造と違ってあまり情報がないのも事実です。

ハウスメーカーでも、木軸構造はしっかり現場を監督してるのに、基礎は放ったらかしだったりもします。。。

しかし、基礎の構造がしっかりしていないと、どれだけ上部構造を頑丈に仕上げても、最悪、欠陥のある基礎では地震で崩壊することもあります。

コンクリートの中の鉄筋なんて、足りなくも出来上がってしまうと見るのは不可能ですからね。

基礎についての基本的な知識を確認して、貧相な基礎、欠陥のある基礎にならないように注意しておきましょう!

基礎の種類~ベタ基礎と布基礎

木造住宅では基礎の種類はベタ基礎と布基礎に分かれれます。

■ベタ基礎

ベタ基礎というのは、建物の下を全て鉄筋コンクリートの版で覆う形の基礎です。

図の引用先 SUUMOさん https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chumon/c_knowhow/ie_kiso/

■布基礎

ベタ基礎に対して布基礎というのは立ち上がりと言われる土台が乗る部分の下にだけ、床版があるタイプの基礎です。

図の引用先 SUUMOさん https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chumon/c_knowhow/ie_kiso/

近年は木造の場合はほとんどがベタ基礎です。

ベタ基礎は、地盤が部分的に緩いところがあっても一部分だけ沈んでしまうことを防ぐのに適しています。

また、耐震的にもベタ基礎の方が地震に強く有利です。

※耐震性能についてはこちらの記事もご覧下さい⇒住宅の耐震性能を考える~耐震等級やgal(ガル)って?~

コスト面では布基礎の方が鉄筋やコンクリートの量が少ないので安くなりますが、一般的にはコスト面しかメリットが無いので、よっぽど地盤が良い場合や何か特殊な工法の場合を除き、ベタ基礎を選定しましょう。

ちなみに、ベタ基礎でも布基礎でも、このように防湿シートというものを全面に敷き、地中の湿気が家に上がってくるのを防ぐ必要があります。

防湿シートの事例

 

シートに隙間や破れがないように注意しておきましょう。

基礎の寸法について

基礎の寸法に関しては、各ハウスメーカーで一律の仕様となっている場合が多いものです。

そのため、「もっと厚く」「もっと大きく」したいと言っても変えにくい部位ではあります。

しかしながら、ローコスト住宅や、少しでも安くあげようとする設計士によっては貧相なものもありますので、注意が必要です。

また、「設計通りにできているか」「良くない組み方をしていないか」といった、現場の確認も大切になる工程です。

ここでは超基本的なところを挙げて起きますので、確認しておきましょう。

基礎の立ち上がりの幅(コンクリの厚み)

基礎の立ち上がりの幅(厚み)は、一般的には15cmのものが多く見られます。

立ち上がりの図面

法的には12cmでも大丈夫ですので(建築基準法では最低12cm以上)、12cm幅のメーカーもあるのですが、12cm幅だと鉄筋の被り厚がとりにくいので、品質的にはあまりよろしくありません。

※被り(かぶり)というのは鉄筋の外側にあるコンクリートの厚みのことで、法的(最低基準)には3cm以上(土に接することろは6cm以上)確保する必要があります。

この厚みが少なくなると鉄筋が錆びやすく劣化が早まるので、実際には4cmは確保しておきたい規定です。

鉄筋の被りが取れていない事例

 

また、立ち上がりの幅も、測ってみると規定の幅に満たないこともよくありますので、注意しておきましょう。

★幅15cmの設計で不足していた事例写真

基礎のベースの厚み

基礎底部のベース(床版)の厚みも建築基準法では12cm以上あればよいのですが、こちらも15cmはあった方がベターです。

ベースの厚みの図面

また、地盤が悪い場合には厚み、配筋ともに強化されます。

基礎の鉄筋(配筋:はいきん)

基礎図面の事例

基礎の鉄筋は構造計算をしなくて良い「仕様規定」の場合だと、建築基準法ギリギリの基準に合わせるとスカスカになりますので、以下の配筋程度はあるか確認しておく方が良いですね。

※耐震等級3にて設計する場合は大丈夫ですが。

・立ち上がりの上端筋はD13(法的にも同様)
・立ち上がりの縦筋はD10@200(法的にはD10@300)
・立ち上がり横筋はD10@200程度
・ベース筋はD13@200縦横(法的にはD10@300以上)

※D10は鉄筋の直径が10mm、@200というのは「ピッチ200」と読み、鉄筋同士の間隔が200mmということです。直径10mmの鉄筋を200mm間隔で並べるということです。

鉄筋量の少ない基礎の事例

上の写真だと、立ち上がりの縦筋はD10@200、ベース筋はD13@300縦横ですから、まあまあ基準法ぎりぎりの配筋です。

そこそこ有名なハウスメーカーでも(特にローコストメーカー)、こんな感じで建築基準法ギリギリのスカスカした配筋もありますから、調べておきたいところです。

上部構造ももちろんですが、基礎についてもしっかり頑丈にしておきたいので、耐震等級3を取得すべく、構造計算をしてもらい、しっかりした基礎にしておきたいですね。

上の写真と比べると、下の写真の配筋はしっかり入ってますよね。↓↓↓

基礎の立ち上がりの仕上げ

基礎の立ち上がりは「基礎巾木(きそはばき)」なんて言い方もされます。

表面的な「見た目」のことになりますので、構造的な品質には直接、影響することは少ないのですが、、

実はこの基礎の部分の仕上げって、あまり考えられていないのですが、結構目立つところなんですよね。

外壁材を一生懸命こだわって、おしゃれにしても、この基礎の巾木が「汚ったない」ことがあり、外観が台無しになることもあります。

それでは基礎の仕上げについて見ていき、自分たちにあった仕上げを選択できるようにしておきましょう。

仕上げ前の基礎の写真(コンクリート素地)

一般的な「モルタル仕上げ」

一番よくあるのは、このようなモルタルを塗っているものです。

モルタルを塗ったあと、「はけ引き仕上げ」「金ごて仕上げ」などがあり、表面の仕上がりも種類があります。

多くのハウスメーカー、工務店で標準となっているもので、可もなく不可もなくと言ったところです。

メリットとしては、「安上がり」ということです。

デメリットとしては、表面がザラザラした仕上げになることが多いので、汚れがつきやすく、基礎の周りが土の場合は雨でドロドロになることがありますので要注意です。

また、モルタルも乾燥収縮によりクラックがよく入りますので、「ひび割れだらけ」になってしまうこともあります。

※幅が広く深いクラックがある場合は、基礎コンクリート自体にクラックがある場合があるので、施工会社に見てもらいましょう。

粗面のモルタルは汚れてしまったらなかなか落ちないので、ひどい場合はペンキを塗るしかなくなります。

塗装仕上げ

基礎に厚さ2~3cm程度モルタル(または補修材を薄塗り)を塗ったあと、塗装仕上げとすることもよくあります。

塗装仕上げの基礎巾木の事例
塗装仕上げの基礎巾木の事例

モルタルだけの仕上げよりワンランク上になります。

仕上げを塗ると、モルタルのクラックも目立ちにくくなりますので見た目には良いものです。

塗装がザラザラした粗面のものを選ぶとモルタル仕上げと同じく、汚れがとれにくくなりますので、仕上げ材の塗り方も確認しておきましょう。

化粧型枠+塗装仕上げ

化粧型枠というのは、コンクリートを流し込む「型枠」の表面にデザインが施されたもので、型枠を外すとその模様が出来上がるというものです。

積水ハウスさんの基礎の写真

代表的なのは、積水ハウスさんの基礎ですね。

一目で分かるデザインで、街中で見かけてもすぐに分かる御影石調のデザインです。

品質は上がりますが、やはりコスト面ではアップしてしまう工法です。

洗い出し仕上げ

最近はあまりないですが、洗い出し仕上げというのは、玉石や砂利などをモルタルに混ぜて塗りつけて、固まる前に表面を洗うという左官の工法です。

洗い出しの写真

デザイン的にレトロ感が出ますから、オシャレですよね。

デメリットとしては、コストがかかってしまうのと、専門の左官屋さんが必要で人によって出来が違ってくるので品質的に「出来栄えが人による」ところがあることですね。

経年により、ポロポロと砂利が取れてきてしまうこともあります。

基礎についてのまとめ

このように、基礎については構造的にもデザイン的にも様々なチェックポイントがあります。

施主さんの中で、基礎の「配筋」を気にされながら家づくりを進められる方もなかなかおられませんけどね^^;

しかし、ハウスメーカー選びの段階から、基礎の構造についてもある程度、聞き取りはしておく方が良いものです。

3階建てなら構造計算が必須になりますし、また性能評価等にて耐震等級3を確認する場合にも、しっかりとした基礎にされることが多いのである程度は安心です。

しかし、構造計算が不要な2階建てだと、スカスカでペラペラの「なんだか不安な基礎」のこともあります。

「間取り」や「外観」だけでなく、基礎についても気にしていただき、もし不安でしたらご相談いただけたらと思います。

※家づくりに関してnoteでもコラムや記事を書いておりますのでまたご覧下さいませ⇒takumiのnote

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