「ヌック」「お篭もりスペース」をつくる~間取り作成におけるリラックススペースの考え方

こんにちは。

一級建築士のtakumiです。

本日のテーマは「こもれるスペース」です。

マイホームには様々な機能がありますが、「リラックス」できるということも大切な要素です。

もちろん、リビングやご夫婦の寝室もしっかりイメージして、落ち着ける空間をつくる必要があります。

ただ、これらの部屋は「一人の時間を楽しむ」には、家族がいるので存分にリラックスできないこともありますよね。

また、子供部屋は一人一部屋与えることが多いのですが、パパ、ママのための「一人の部屋」というのは面積的に設けるのが難し場合も多いものです。

ですので、スペースの余裕を作って、どこか少しでも「こもれる場所」があると落ち着けるものです。

では、「お篭もりスペース」について見ていきましょう!

スタディスペースやワークスペースを半クローズドに

お子様が宿題をするスタディスペース、ご夫婦がパソコンなど調べ物をするワークスペース、ご主人様が趣味に使う趣味コーナー、読書コーナー

こういったスペースは、リビングにオープンスペースとして設置されることも多いのですが、少し壁で囲って半クローズドな空間をつくると落ち着ける空間ができます。

区間されたワークスペース

スタディスペースは、お子さんの勉強を見ていられるようにオープンスペースの方が良いとされる場合があります。

しかし、オープンスペースで勉強するのも小学生くらいまでです。

そのうち、(勉強するお子様は)自分の部屋で集中して勉強するようになるものです。

であれば、少し囲っておいて、視線が通りにくいスペースにしておくと集中しやすい環境になるので、ワークスペースにもでき、柔軟に使えるので、おすすめです。

キッチン近くの書斎
キッチン近くのワークスペース

大きめのパントリー内にスペース(家事室)
パントリーを少し大きめに確保できる場合は、パントリー内にワークスペースを設けることも可能です。

takumitakumi

「リラックスしやすい篭もれるスペース」をつくるには、完全なオープンではなく、少し壁を設けて視線が通りにくくすることです。

ヌック

ヌックというのは
「小ぢんまりとした、居心地のいい空間」で、
広いものもありますがどいらかというと「隠れ家」的な使い方をすることが多く、2~3帖程度のちょっと狭いくらいのスペースが多いですね。

元々はスコットランドの「neuk:ヌーク」が語源とされています。

リビングの一角に設けたり、階段下に設けたり、寝室に併設することもあります。

ヌックのメリットは、「家族の気配を感じつつ、1人の時間を過ごせる」といった、半クローズドな空間をつくることにあります。

また、一緒に収納スペースを確保して効率的なスペースの使い方ができることですね。

LDK内のヌックの事例

ヌックに大きさの目安は特になく、小さなものなら1帖もないものもあります。

あまり大きくなると単なる部屋になってしまうので、3帖程度までのものが多いと思います。

リビングに併設する畳スペースも少し区画をすることで、ヌック的な使い方にできます。

畳のヌック事例

ヌックは畳コーナーの場合もそうですが、上図のようにリビングより少し床を高くした「小上がり」とすることで、「座ったり寝そべったり」がしやすい高さになります。

本好きな方だと、書庫に併設してヌックを設けることで、読書スペースとしてリラックスできる場所とすることもあります。

書庫に併設するヌック
takumitakumi

あまり広いと「こもり感」が薄れるので、落ち着けるヌックとするなら1人あたり1帖位までの大きさ(2人入るなら2帖くらい)が適しています。
狭くても、景観の良い窓際につけることで、明るく開放的なヌックにすることもできますね。

スキップフロアとダウンフロア

スキップフロア

スキップフロアは「半2階」や「中間階」と似ていますが、ひとつのフロアで数段の段差のあるフロアのことで、同じ空間の中で段差をつけることにより、緩やかに区画する効果があります。

スペースを有効に使える時もありますが、多くは「遊び心」として採り入れます。

構造的に複雑になりますので、コスト面では不利になりますし、耐震的にもシンプルな方が有利と言えます。

リビングを中心に考えると、スキップフロアは吹き抜けなどと一体的になるので、開放感は得られやすいが「こもり感」はつくりにくい手法といえます。

引用元 パナソニックホームズさん https://homes.panasonic.com/column/50077/idex.html

 

ダウンフロア

ダウンフロアは、スキップフロアとは逆に高さを数段落としたレベルのフロアです。
少し低いことから落ち着きのある空間となります。

また、床を下げることによりその部分の天井高さはその分高くなりますので、部屋全体を広く見せる手法でもあります。

引用元 タマホームさん
https://www.tamahome.jp/knowledge/downfloor

1階に設ける場合が多いのですが、スキップフロアとは違い、基礎形状により対応出来る事が多いため構造的にはそれほど複雑にはならないため、採り入れやすい手法ではあります。

階段下にスペースを作りたい場合でも、床レベルから下がるので階段までの天井高さをかせぐこともできます。

スキップフロアと逆で、リビングよりも低くなる設計とすることで、落ち着ける空間をつくりやすいといえます。

takumitakumi

スキップフロア、ダウンフロアともに、視覚的に緩やかに区画する効果がありますが、段が増えるという反バリアフリーな点や、段のある部分はスペースが非効率になっていますので、面積的にも無駄になることが多いと言えますね。

注意が必要な小屋裏、ロフト

こちらも遊び心のあるスペースですが、法的には「小屋裏収納」として面積に含まないかわりに、天井高さ等の制約があります。

小屋裏スペースの活用事例

建築基準法では、小屋裏収納を床面積や階に参入しない条件として
・下の階の面積の1/2未満の大きさ
・天井高さは1.4m以下
という基準があります。

2階建ての2階の上につくる場合は2階の床面積の半分までの大きさとなります。

これを超えてもつくることはできるのですが、階として参入されると構造計算が複雑になり、構造的にもコストアップとなります。

※こちらの記事でも小屋裏収納を扱っております↓↓↓

注文住宅では収納の失敗例が多い!間取り作成で使いやすい収納の形状・大きさって?

階や面積参入しない小屋裏収納は、あくまでも「収納」ですので、法的には居室としては利用できないので注意が必要です。

すなわち、寝たり、遊んだり、お仕事をしたり、リラックスしたり、という使い方は法的にはダメ、ということになります。

小屋裏は非空調スペースになることも多く、あまり環境的にも心地よいとは言えない場合も多いので、基本的には収納メインで考えておいた方が良いでしょう。

「こもれるスペース」まとめ

色んな「こもれるスペース」を紹介しました。

少しスペースに余裕がある、余ったスペースの有効利用の際も柔軟に使えるスペースを作ると便利ですよね。

さて、最後に

このようなこもれるスペースを設ける際の注意点としては、「使わなくなりそのうち荷物置き場に」なってしまうことです。

もちろん、荷物置き場になってしまうのがダメでは無いので、視線の通らない「区画された」場所であれば荷物置き場になってしまっても見た目にも悪くは無いものです。

落ち着ける「こもれるスペース」を設ける際には、視線の通りにくい少し区画された空間をつくるようにしてみましょう。

※noteでも色んな情報をお伝えしております↓↓↓
家づくりにおけるスタディコーナーの考え方

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