注文住宅の工事費用のカラクリを紹介

はじめに

こんにちは。

一級建築士のtakumiです。

よく、設計の適正価格が知りたい、といった質問をお受けするのですが、適正価格は「ぽんっ」と出てくるものではありません。

住宅ごとに仕様が全て異なることや、業者によって仕入れる価格が異なり、単価が違いますから適正価格というのはないと言ってもいいでしょう。

注文住宅の建築工事費用では相場は通常、坪単価50~55万円くらい?なんて言いますが、あくまでも目安です。

100㎡の住宅で1000万円台でも可能ですし、仕様にこだわれば4000~5000万円かかることもあります。

形状やスペック次第です。

物を購入するとのは違って、建築の工事費は当然ながら建物ごとに工事内容が異なり、工事費を算出するには実際には何十ページもの積算資料を作成する必要があります。

ただし、ハウスメーカーや工務店では住宅建築を規格化しているところが多く、「標準仕様」としてひとつの商品のように扱われています。

これも、実際には積み上げた積算の根拠があり、必ず利益が出るようになっています。

では、注文住宅の「コスト」について説明していきましょう。

工事費明細書(見積書)が無いと正確な工事費は分からない

設計者は設計図面を作成するのも重要ですが、この「工事費」も算出する必要があります。

工事費は、通常は「見積書」「内訳書」「工事費明細書」といったもので工事の種類ごとに細かく積み上げ、それに諸経費や消費税を加えて算出します。

工事費が適正かどうかを確認するためにはこの内訳書の項目や数量、単価などを細かくチェックする必要があります。

数量をチェックするためには「数量調書」といった部材の数量を積算した資料を図面とあっているかの確認が必要になります。

また、単価は販売されている物価本(建築コスト、建設物価など)や、メーカーのカタログ価格、メーカー見積もりにより、必要に応じて掛け率などを掛けて単価とします。構造木材やコンクリート、鉄筋、一般的な内装材などは物価本の価格を参考にします。

ハウスメーカーの工事費はブラックボックス

ハウスメーカーやビルダーの多くはこの明細書を施主には出しません。

見積書としては大部分が「本体工事一式~●円」という形の一式工事とあとはオプション工事や付帯工事が並び、コストをおさえたいと思っても、削る部分を検討できないのです。

特に、積水ハウスや大和ハウスなどのプレファブ鉄骨の場合はユニットの組み合わせで商品化するため、細かく工事費を積み上げるというものでは無いためです。

規格住宅というものですね。

木造のハウスメーカーやビルダーでも同様に規格住宅では、細かい内訳書を出してくれない所が多いようものです。

詳しい明細書を出してくれないため、ハウスメーカーやビルダーの積算はブラックボックスになっているのです。

ただ、一概に悪いという訳ではなく、規格された住宅は「ひとつの商品」として、かかる費用が最初からある程度把握できますので、その点ではメリットがあります。

ちなみに、大手ハウスメーカーが割高になる理由としては、「技術開発費」や「宣伝・広告費」などが跳ね返ってきているためですね。

大手ハウスメーカー=「品質が良い」とは言い切れません。

内訳書の工事種別

本来の内訳書・見積書には以下のような工種がありますが、作成する者によってまとめ方は様々です。

・直接仮設工事(工事を行うための足場など)
・土工事(掘削や地業など)
・基礎工事(鉄筋工事、型枠工事、コンクリート工事)
・木工事(構造材、金物、建方、断熱材、造作材など)
・屋根、板金、樋工事
・外壁工事(サイディング、材料+貼り手間)
・防水工事(シーリング、バルコニー防水)
・塗装工事、左官工事、タイル工事、石工事
・外構工事
・防腐、防蟻工事
・内装工事、雑工事、家具工事
・電気設備工事
・給排水衛生工事

これらに共通仮設費、現場管理費、一般管理費といった諸経費が乗せられます。

その他
照明や家具工事、調査費用、地盤改良費などは別途加算されます。

このような細かい見積書(内訳書)が出てこない業者の住宅は規格住宅です。

逆に注文住宅(フルオーダー住宅)であれば細かい見積書(内訳書)が出されなければ、その金額の妥当性を判断できないため、工事費はブラックボックスです。

※注文住宅にはフルオーダーやセミオーダーがあります。こちらをご覧ください↓↓↓

※takumiのnote記事もご覧ください⇒note

注文住宅とはどんな建て方?~建売住宅との違いや相場、メリット・デメリット~

まとめ

工事の明細書があれば、予算をオーバーしている場合は金額の大きな所の仕様を見直し、少し安いものに入れ替えることも可能です。

設計事務所や工務店から工事の明細書が提出されたら、金額の大きな所からチェックしてみて、分からなければ作成者や第三者の建築士などに確認してみてください。

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