注文住宅における仕上げ材料について~住まいの屋根や外壁、内装の材料選び~

仕上げ材料について

こんにちは。

一級建築士のtakumiです。

注文住宅の計画では、材料選びも一苦労です。

建築材料といっても、ほんと、色々ありますからね。

ハウスメーカーや多くの工務店では、規格住宅としてシリーズ化しているため、それほど悩まずに済むことも多いのですが、フルオーダー住宅だと、選択肢が多くて悩ましいものです。

建築材料選びは、デザインはもとより、材料によっては機能面でかなり違いがありますし、スペックの高い材料はコストも高くなります。

材料選びは見た目機能面コストとのバランスを考えて選択するようにしましょう。

屋根

屋根の材料は、メンテナンス性や、重さによる構造面への影響も加味して選択します。

ここでは一般的な材料を紹介しておきます。

最も一般的で昔からあるものはです。

瓦屋根の事例

瓦は耐久性、耐候性がよく、さらには断熱性も高く、メンテナンスがほとんど必要ないという抜群のメリットがあるのです。

しかし、重くて構造に負担がかかるデメリットがあります。

建物というのは自重(家の重さ)が重いほど、地震の影響も大きくなりますから、金属系やスレート系の軽い屋根と比べると7~8倍もの重量がある瓦は、耐震面が不利になります。

その分、構造体の費用はアップしてしまうということです。

地震や台風で瓦がズレることも多く、ズレた部分から雨水が侵入し雨漏りしてしまうこともあり、地震や台風の後は、メンテナンスが必要となることがあります。

メリットはなんといっても耐久性、断熱性が良いことです。

日本瓦は昔から使われている材料ですので安心ですし、モダンな外観デザインにも合わせやすい材料です。

瓦は粘土系とセメント系、和風も洋風もありますので、建物の雰囲気に応じて選ぶこともできますね。

■日本瓦
✧重 量:45~50kg/㎡(非常に重い)
✧価 格:10,000円/㎡前後(高い)
✧耐用年数:50年以上(基本はメンテ不要)

■セメント瓦(洋瓦)
✧重量:40~45kg/㎡(重い)
✧価格:7,000円前後
✧耐用年数:30年程度(塗装のメンテナンス要)

ガルバリウム鋼板

鋼板系ではガルバリウム鋼板という材料があります。

ガルバリウム鋼板屋根の事例

ガルバリウム鋼板は、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%から成る、アルミと亜鉛の混合メッキの鋼板です。

塗装したものであれば、見た目にはカラー鋼板と変わりません。

メリットは、鋼板ですので非常に軽く耐震性に有利であり、錆びにくく耐食性が良いこと、また、耐候性にも優れています

葺き方は横葺きや、瓦棒葺きのような縦葺きがあり、外観デザインに応じて工夫ができます。

鋼板では亜鉛メッキやカラー鋼板というのもありますが、メッキが剥げやすく錆が出やすいので、鋼板とするならこのガルバニウム鋼板を採用してください。

デメリットとしては、あくまでも「メッキ」ですので、キズが付いた部分や切り口はきちんと再塗装や防錆処理をしないとそこから錆びますので、施工中のチェックは大切です。

また、屋根材自体は0.5mm前後の薄い鋼板ですので、強度はなく断熱性もありません。

遮音性にも乏しく、表面が金属であるため、「パラパラ」という雨音が気になることもあります。

■ガルバリウム鋼板
✧重 量:5~8kg/㎡(非常に軽い)
✧価 格:6,000~8,000円/㎡程度(比較的高い)
✧耐用年数:30年程度(塗装のメンテナンス要)

スレート系

安めの材料ではスレート系という繊維強化した薄いシート系の材料があります。

スレート系屋根の事例

カラーベストやコロニアルといったものですね。

スレート系は比較的安価で軽いのがメリットですが、耐久性の面ではあまり長持ちしません

メンテナンスが必要で、そのうち葺き替えが必要になります。

シート状の材料を貼っていく工法となりますので、比較的取り扱いやすく、屋根材の中では安くローコスト住宅にもよく使用されます。

表面がザラザラしていますので水分が溜まりやすく、カビやコケが発生しやすいため、常に湿っている部分から劣化していきます。

通常は屋根材というのは10年保証となりますが、瓦やガルバリウムが手入れせずに20年以上はもつのに対して、スレート系では10~15年経てば劣化が目立ってきます。

■スレート系屋根
✧重 量:15~20kg/㎡(比較的軽い)
✧価 格:5,000円/㎡前後(安い)
✧耐用年数:20年程度(塗装や部分張替えのメンテナンス要)

外壁

外壁は非常に種類が多いものです。

外壁材の中でもサイディングを使用することがほとんどなのですが、一言に「サイディング」といっても「窯業系」、「金属系」、「樹脂系」などがあります。

サイディングの主流は、セメントや繊維系の材料を混ぜて成形した「窯業系」が一般的です。

表面の仕上げは工場塗装であったり、素地のサイディングやボードの上に現場で塗装や吹き付けをするものもあります。

窯業系サイディングについて

窯業系サイディングはデザインや機能も様々、コストも様々で、本当に色んな種類があります。

品質も良いものが出ていますが、一般的には耐久性が良く、防火性能を有しているものがほとんどです。

タイル張りっぽいものから金属っぽいもの、吹き付けっぽいものと、仕上がりは様々です。

一般的には、現場で塗装や吹き付けをするものより工場で塗装されたものの方が、品質は良いものです。

コストは工場塗装の方が高くつきますが、耐久性や仕上がりを考えると、品質の良い工場塗装の方がメリットが多いと思われます。

また、窯業系のサイディングは表面を加工しているものも多く、防水性や耐候性、光触媒といった「自然に綺麗にしてくれる」機能も備わったものもあります。

しかし、このような機能もだんだん薄れてくるものです。

10年以上経てば効果も少なくなり、表面塗装をやりかえる必要が生じてきます。

窯業系サイディングの厚み

窯業系サイディングは14mm、15mm、16mmといった厚さが主流となっています。厚い方が良いものとなります。注意が必要なのは、「留め方」です。

一般的には14mmは「クギどめ」、15mm以上は「金具どめ」が一般的となりますが、クギどめはクギの頭の部分から塗装が劣化してきたり、浸水してしまうといったデメリットがあります。

できれば、金具どめができる厚みを選択するべきなのです。

※外壁については詳しくはこちらをご覧ください↓↓↓

注文住宅に使用する外壁の選び方について~サイディングやタイル張りなどの特性を知る~

内装の壁、天井

主な壁や天井の仕上げは、圧倒的に壁紙クロスが多いです。

下地である石膏ボードの上に、クロスを貼り付けるのですが、安くて大きな失敗もありません。

色や柄、等級も色々ありますので、部屋の用途に応じて変える事も可能です。

そのため、最も無難でコスパの高い材料と言えますね。

また、クロスはほとんどが樹脂系の素材ですが、木や綿などの有機素材を原料としているものもあります少し高くはなりますが、検討してみてもいいですね。

どんな内装も同じですが、経年劣化でリフォームの必要な時が来ます。

そんな時もクロスは貼り替えもしやすいものです。

クロスには等級がありますが、一般的に注文住宅ではAA級というクラスがほとんどで、1,000円/㎡位となっています。

AA級は等級としては8等級のうち下から2番目のものですが、AA級でも種類や柄はものすごく沢山あります。

よほど上位の等級に欲しいクロスがある場合以外はAA級で十分であると思います。

 

天然素材としては、木材を貼ることも多いですね。リビングの腰壁や天井にスギやヒノキ、パイン材の羽目板を貼ったり、シナなどの合板で仕上げることもあります。

全面を木材とせずに、一部に使うことでいいアクセントになりますので、木材を採り入れてみるのも良いですね。

 

健康志向の方なら、珪藻土や漆喰といった塗り壁の内装とすることもあります。

珪藻土や漆喰のメリットは見た目の質感も良いものですが、やはり湿度の調整にあります。

夏のジメジメや冬の結露によるカビなど、日本での湿度対策は不可欠です。

しかし、塗り壁は専門職人の数も少なく、コストが高くなってしまうことや、工期が長くなるというデメリットもあります。

床材はフローリングが一般的です。

床は毎日必ず触れるところですので、こだわってみるのも良いものです。

フローリングには「単層フローリング」と「複合フローリング」があります。

単層フローリングは無垢のことです。これに対して複合フローリングは薄く加工した板を接着剤で貼り合わせて造られているものです。

単層フローリングは木材から切り出し成形しているため、見た目の質感や踏み心地の良さが良いものです。

ただ、吸湿のため施工後に隙間が生じたり沿ってくるなどの狂いが生じる可能性があります。

また、大量生産が出来ませんので木材にもよりますが、価格も高めとなります。

無垢のフローリングの場合、木の種類も色々あります。

スギやヒノキ、メープルやサクラ、ナラ、パイン材…etc、と色々ですね。

※フローリングについては詳しくはこちらをご覧ください↓↓↓

マイホームの計画は「床材」にこだわりを!~無垢フローリング材おすすめ10選!~

複合フローリングは、質感では無垢には劣りますが、表面上は無垢と見分けがつかないものもあります。

表面に本物の薄い木を貼ってあるもの(突板(つきいた)は約0.3mm、挽板(ひきいた)は約2mmの厚さの薄皮)とプリント柄を貼ってあるものの2種類に別れます。

当然、プリント合板の方が安くなりますが、やはり安っぽく感じます。

複合フローリングは加工品ですので施工後のソリなどの狂いも少く、価格を抑えられていることがメリットです。

表面に予め加工処理をすることで、防水性や傷が付きにくい仕様としている商品もあります。

どんな材料でもそうですが、床材は特にサンプルや実際に貼ってある展示場などで実物をご覧になって検討頂くことをおすすめします。

フローリング以外にも、クッションフロアや畳、大判タイルと様々な床仕上げがありますので、用途に応じて検討したいですね。

仕上げ材のサンプル確認

仕上げ材の選定で困った時、イメージできない時には、サンプルを取り寄せてもらうのも有効です。

カタログの写真では色も質感も、まったく伝わらないですし、実際の実物とは違った印象になるものです。

外壁でも屋根でも内装材でも、ほとんどのものはメーカーがサンプルを用意しています。

設計時点でも、実際に工事中で色決めに悩んでいる時でも、サンプルを用意してもらっていくつかを比較して決めていくことが大切です。

注意する点として、サンプルは小さめのサイズしかありません。

また、サンプルを見るにしてもイメージ力が必要ですし、大きな面積になると色合いも違って見えます

ですので、どうしてもイメージしづらい時には実際の使用事例を見ておくのが一番です。

実物事例を見ておきたい場合は、設計士や工務店に依頼して、その材料を使った実例を見せてもらえないか確認しておきましょう

まとめ

このように、建築材料には見た目やコスト以外にも、機能面でのメリット、デメリットがありますので、きちんと調べて採用すべきものです。

できるだけ後悔のないように、コスト品質のバランスを考えて進めるようにしましょう。

※家づくりの記事はnoteでも多数書いておりますのでご覧ください↓↓↓

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