住宅性能評価ってどんな制度?

住宅を計画する際に、「住宅性能評価」を取得するかどうかも考慮しておく必要があります。

住宅性能評価とは、

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」

という法律で位置づけられた性能を表示する制度です。

住宅の品質や性能を一般の方にも分かるように等級で表示して、価値を評価書という形で示すものです。

注文住宅(新築の戸建て住宅)だけでなく、マンションの住戸や、中古住宅でも適用できます。

この性能評価を受けることで、一定の品質を保っている住宅である事が示されるだけでなく、「住宅ローン」「地震保険」の軽減や、「紛争処理の支援」といったことを受けることができるメリットもあります。

しかし、性能評価の取得率は2018年度で新築の戸建て住宅では20%半ばであり、まだまだ普及していない制度です。

住宅性能評価書を取得するには?

性能評価を受けて、評価書を取得するためには、登録されている第三者の検査機関に申請しますが、申請は設計者や工務店などの工事業者が代理で対応することになります。

性能評価には、

・設計の評価である「設計性能評価」と、

・完成した建物を評価する「建設性能評価

があります。

設計の性能評価を受けているものが、建設性能評価を受けられる制度になっており、両方取得して効果を発揮することになります。

設計だけ受けても、あまりメリットはありません。

性能評価の内容はどういうものがある?

では、性能評価の中身です。性能評価には10分野あり、全部で32項目あります。

そのうちの必須となるのが4分野で9項目あります。どの分野も建物にとって重要な品質について規定しています。

必須項目の4分野は、
 「構造の安定に関すること」

 「劣化の軽減に関すること」

 「温暖環境に関すること」

 「維持管理や更新の配慮に関すること」
となっており、安全性や快適性の主軸といえます。

必須の4分野は、住宅計画にとって大変重要な内容であり、安全で健康的な生活に必要な品質に関わることです。

各分野の概要は以下の通りです。

①構造の安定(★必須分野)

構造の耐力に関するもので、地震に対する耐震等級が主ですが、他に台風や積雪、地盤などの項目があります。

耐震等級は1~3まであり、耐震等級1が建築基準法と同等で、震度6強~震度7といった大地震で倒壊しないものとされています。

耐震等級2では耐震等級1の1.25倍

耐震等級3では耐震等級1の1.5倍

の耐力となります。

※安全面では耐震性は重要な項目です。詳しくはこちらをご覧ください。↓↓↓

②火災時の安全

火災の際の燃えにくさや延焼のしにくさに関する耐火等級や、避難のしやすさに対する評価を示します。

「防火性能」を示すものです。

※防火性能も人命を守るための重要な項目です。こちらで詳しく解説しています↓↓↓

③劣化の軽減(★必須分野)

建物は経年劣化により、機能が低下してきてしまいます。建材が劣化しにくいような対策を評価します。

構造材である木材であれば、劣化を軽減する防腐等の措置や防蟻措置といったものもありますが、劣化しにくい木材の選定をすることでも対処が可能です。
※構造の木材についてはこちらをご覧ください↓↓↓

④維持管理や更新への配慮(★必須分野)

設備の維持管理や更新への配慮として、水道管やガス管といった設備配管などの維持管理のための措置の項目もあります。

※建築基準法には明確な基準はありません。

⑤省エネルギー対策(★必須分野)

断熱性や気密性を示す「断熱等性能等級」と設備の消費エネルギーを評価する「エネルギー消費量」の二つの指標がありますが、戸建て住宅では断熱等性能等級が重要です。

断熱等性能等級には1~4等級があります。対策を講じるのであれば最高等級の等級4を取得しましょう。

  • 等級4:平成25年基準(次世代省エネ基準)に適合
  • 等級3:平成4年基準(新省エネ基準)に適合
  • 等級2:昭和55 年に制定された基準(旧省エネ基準)に適合
  • 等級1:その他

※建築基準法には明確な基準はありません。

※断熱性や気密性についてはこちらをご覧ください↓↓↓

※断熱の対策は熱損失の大きい窓の対策が肝心です↓↓↓

⑥空気環境

ホルムアルデヒド等の空気中の化学物質濃度や適切な換気設備の評価です。

⑦光・視環境

採光や通風に有効な開口部(窓)の比率や方位・位置についての評価です。
※採光(日当たり)についてはこちらもご覧ください↓↓↓

⑧遮音対策

主にマンション等の共同住宅の分野で、上下、隣の住戸からの音の伝わりにくさを評価します。

※建築基準法には明確な基準はありません。

⑨高齢者等への配慮

高齢者や体の不自由な方が使いやすいような配慮を評価します。

段差や出入口の幅、階段の勾配などの項目があります。

※建築基準法には明確な基準はありません。
※バリアフリーについてはこちらもご覧ください↓↓↓

⑩防犯対策

防犯に対する建物の措置を評価します。

開口部(ドアや窓)について、有効な侵入防止対策が講じられている部分を評価します。

※建築基準法には明確な基準はありません。

性能評価を受けるにはどれくらいの費用がかかる?

「設計性能評価」と「建設性能評価」を受けるには、設計や工事費用としての「手間」として10~20万と、審査機関への申請手数料がかかります。

申請手数料は、評価機関によりますが、例えば㈱住宅性能評価センターでは

木造戸建ての2階建ての基本料金は、

・設計性能評価が59,400円
(1項目追加2000円) 、

・建設性能評価が80,000円

となっています。ですので、木造戸建て住宅の場合では、30万~40万円程度の費用がかかることになります。

ただし、申請内容が必要な性能ばかりであれば良いのですが、必要ない性能の評価まで取ってしまうと、そのための工事費が余分にかかってしまうことになります。

性能評価を取得すべき必要な項目は、きちんと考えて選ばなくてはいけません。

住宅性能評価のメリットとデメリット

性能評価を受けるメリットは、なんといっても建築基準法よりも厳しい基準、規定されていない項目を必要に応じてランクアップさせることができることです。

その計画に応じて、第三者機関の検査によりお墨付きが出されますので、必要な品質を確実に得られることですね。

各メリットの概要は以下のとおりです。

性能評価のメリット

住宅ローンの金利の優遇措置を受けられる場合があります。⇒ローンを組む場合は前もって金融機関に確認しておきましょう。

地震保険では、耐震等級3を取得していれば保険料が50%も割り引きが受けられます。耐震等級2では30%、耐震等級1では10%の割引になります。

□請負や売買契約について、指定住宅紛争処理機関に当事者間の紛争の処理を申請できます。 紛争処理の手数料は1件あたり1万円となっています。

□(新築する時から考えないかも知れませんが)中古物件として売却する際には価値が上がる場合があります。

□建築基準法の最低基準ではなく、建築主にとって必要な基準を評価書という目に見える形で評価してもらえるため、消費者にって安心できる

□階数が3階までの住宅の場合は計4回の現場検査があり、(完璧ではないが)ある程度の高品質を確保できる

現場検査
①基礎配筋工事完了時
②内装下地張り直前
③屋根工事完了時(躯体工事完了時)
④竣工時

確認申請(建築基準法)の完了検査では上記のような検査をすることは無く、基本的には全て仕上がった状態で間取りや窓の配置、階段や各部の寸法確認などの簡易な検査となっています。

中間検査がある場合でも、「抜き取り検査」であり、全ての構造材を検査することは無いため、第三者の検査員が現場の検査に4回訪れることは有用であり、安心できるものと言えます。

性能評価のデメリット

□無理に評価基準に合わせて取得しようとすると、工事費が上がってしまい割高になってしまう。

ただし、必須の4分野であれば、特別大きなコストアップにはならないはずです。これらの分野の性能評価を取得するために工事費用が跳ね上がるということは、元々の設計が品質に問題がある可能性があります。

□評価書取得のための申請や検討の手間費や審査機関への手数料が30~40万円程度はかかる。

□各分野の基準が細かいため、必要な項目の基準をクリアするために、工事費がいくらアップするのかが消費者にとって分かりにくい

まとめ

このように、

    高い品質を確保する

    評価書として目に見える形にする

    それにより各種のメリットがある、

という良い制度ではあります。

特に、現場検査が4回あり、第三者の目で現場がチェックされることは品質確保のためには欠かせません。

しかし、一方で、性能評価を取得するために工事費がアップしてしまうことや、各分野の項目の基準が細かく、必要な項目をクリアするのに工事費がいくらアップしているのかが分かりにくいといった実際の「工事費」に関わる部分が分かりにくい制度でもあります。

全ての工務店や設計事務所で対応できるものではありませんので、設計や工事の前に性能評価を受けたい旨を伝えて、対応ができるかどうかを確認しておかなければいけません。

また、性能評価の制度に対応できない工務店、設計事務所であれば、技術力に劣っている可能性もありますので、設計や工事を依頼する際の目安にもなります

現段階では、必ずしも必要な制度ではなく費用もかかるため、普及率もまだまだですが、注文住宅を計画する際には、この性能評価の取得も考えてみて、設計を進めて頂ければと思います。