「健康的なマイホーム」とするための7つの秘訣~心と体に健康な家づくりを!

はじめに

こんにちは。

一級建築士のtakumiです。

家づくりは、家族の健康に直結するところが多いものです。

 

なぜ家づくりが健康と関係あるの?

 

と、思われる方もおられるかもしれませんが、実際に住まいは健康と密接に関係してきます。

「快適」に過ごせる住まいでないと、心身ともに不健康になってしまう要因がいくつもあるのです。

健康的に暮らせる家づくりには、以下の7つのポイントがあります。

①日当たり
②風通し
③断熱性能
④ヒートショック
⑤自然素材
⑥色
⑦ストレス

これらを理解して頂き、心身ともに健康になれる住まいを手に入れて頂きたいと思います。

では、それぞれ見ていきましょう。

①日当たりを良く(間取りの配置計画)

日当たりというのは、精神面に影響しやすい要因です。

薄暗い部屋では、どんよりと気分も滅入ってしまいまうものです。

自然の光が入る、日当たりの良い部屋とすることで部屋が明るくなり、

・気持ちの良い朝が迎えられる

朝に朝日を浴びることは、体内時計を正常に調整し、1日のスタートを切る合図となります。

 

・気分が前向きで爽やかになる

太陽の光を浴びることは、幸せホルモンであるセロトニンを増やす効果や、体内でビタミンDを作る手助けとなります。

といった効果があります。

 

では、どのように計画するのか?

 

・日中過ごすリビングなどの部屋は南向きの窓を設ける。

・気持ちの良い朝日を入れたい部屋には東向きの窓を設ける。

 

これが基本となります。

単純なことですが、実はできていない間取りは結構多いものです。

※日当たりについては詳しくはこちらをご覧ください↓↓↓

住宅の間取りは窓からの採光が大切~日当たり良く計画するポイントを伝授!

②風通しを考えて窓を配置

風通しを良くすことは湿気や臭気、空気中の有害物質を希薄したり除去するのに、最も効果的です。

感染症が流行っているときには、窓を開ける換気がとても重要です。

風通しの良い窓の写真

それに、換気の良くない、空気の悪い部屋は息苦しく感じます。

もちろん、24時間換気(常時換気:家全体の微量な換気)といった「機械換気」も大切ですが、天気の良い日に家中の窓を開けて家全体で風を通すと、気持ちがよいだけでなく、一気に家中の空気を入れ替えることができます。

風通しを良くするには、できるだけ南北に窓を設ける、無理なら部屋の2方向に窓を設けることが大切です。

風通しの良い間取り(窓の配置)
窓の配置の例

建物や設備の性能が良くなり、冷暖房・空調や熱交換型の換気設備により、快適に思える住まいは実現します。

しかし、自然の光を取り入れ、心地よい自然の風を通すことは、気持ちが前向きになる「健康的な生活」の基本となります。

間取りの計画において、「窓の位置と大きさ」を考えることが健康にとって、とても重要ということです。

※窓の配置については詳しくはこちらをご覧ください↓↓↓

③高い断熱性能で家の結露やカビを防ぐ

家の断熱性が高いことは省エネだけでなく、健康的な生活にも大きく関係しています。
グラスウールの施工状況

先ほどは、日当たりと風通しについて解説しましたが、常に天気が良い訳ではなく、いつも窓を開けて良い空気が得られるわけではありません。

季節によっては、冷暖房に頼らざるを得ないことは明らかです。

冷暖房をかけると、家の中と屋外とでは温度差が生じることになります。

特に、外気温が低い冬は、家の内外の温度差により壁の表面や壁の内部に「結露」が生じて、健康に良くないカビや異臭の原因になっています。

この結露を防止する方法としては次の通りです。

「外部に面する壁や窓の断熱性能を上げて、壁や窓の屋内側で急激に温度が下がらないようにする。」

高断熱にする理由は省エネだけでなく、結露を防止して、健康に害のあるカビを防ぐ効果も大きいのです。

※気密性や断熱性については詳しくはこちらをご覧ください↓↓↓

④ヒートショックを少なくする計画

ヒートショックというのは、家の中の温度差により、血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こってしまうことです。

血圧が急に変化することで、心筋梗塞や脳内出血、脳梗塞、脳内出血といった病気が起こりやすくなります。

 

高齢者に多い症例ですが、実は若い方にも起こることなんです。

特に冬場のことですが、断熱性と気密性を高めて部屋を快適な暖かさに保てても、トイレやお風呂、脱衣場が寒ければ、ヒートショックの原因となります。

この温度差を防止するには、一番良いのが「全館空調」の設備です。

全ての部屋に快適な空気を送ることで、均一な温度を保つ事ができます。

全館空調を採用しない場合では、浴室暖房設備により、浴室~脱衣場を暖めておくこともできますね。

また、トイレも冷えに注意が必要です。

ホット便座はもちろん必要ですが、その他にも、

・間取り配置では、冷えやすい北側をなるべく避ける
・北側の場合は冷気が入りにくくするため窓を小さくする
・パネルヒーターなどの暖房器具を置く(置けるスペースの確保)

といった対策が考えられます。

他にも(少し裏技的ですが)、24時間機械換気(常時換気)の排気口をトイレとしておくことで、温められた空気をトイレに入れるという方法もあります。

多少ですが、トイレ室内の温度を上げることができますね。

24時間換気の風道
24時間換気の風道

ヒートショック防止のため、部屋間の大きな温度差を無くす(冷えきった部屋をつくらない)こと。

これも、とても重要な要素です。

⑤自然素材を使い空気をきれいに

健康的な生活のためには、部屋の空気をきれいにしたいところです。

空気中の微細な有害物質やジメジメする湿気の対策です。

先程は窓からの自然換気についての話をしましたが、雨季真冬のような窓を開けられない時期もあります。

家の中の空気をきれいにする方法として、内装に「自然素材」を取り入れる方法がとても有効です。

まず、壁や天井では珪藻土(けいそうど)、漆喰(しっくい)、じゅらくといった昔ながらの「塗り壁」が最適です。

漆喰壁の例

これらの特徴としては、空気中の余分な湿度を吸収したり、乾燥していると水分を放出するといった調湿効果(※1)があります。

※1.ただし、石膏ボードの上に数ミリ塗るといった薄いものでは、あまり調湿効果は期待できません。

また、嫌な臭気を吸収したり、ホルムアルデヒドといった有害物質(VOC)を吸収したりと、シックハウス対策としても有効で、部屋の空気をきれいにしてくれる効果が期待されます。

このように、メリットとしては、調湿効果によるカビの予防や消臭効果が期待でき、また、シックハウス症候群の予防にも最適だということです。

ひび割れたり、工事費が高いといったデメリットもある塗り壁ですが、ヒビ割れしにくい材料や珪藻土クロスのようなものも開発されていますので、検討する価値はあります。

※製品では、LIXILのエコカラットといったものも調湿や消臭効果があるとされています。

同じように、床材でも自然素材は健康に一役買います。

和室の畳がそうですね。

畳に使われる「い草」調湿効果があります。

また、い草の香りにはリラックス効果もありますので、精神的にも安らぐものです。

また、木材である無垢のフローリングにも湿度を調整する機能があります。

オーク(なら)のフローリングの写真
オーク(なら)の無垢フローリング【kinoyuka.netより】

※フローリングは表面をコーティングしてしまうと調湿効果はほとんどなくなることや、調湿効果が高いということは反りや狂いも大きくなるということにも注意が必要です。

自然素材を採り入れるメリットとして、

・調湿効果
・臭気の吸収
・有害物質やアレルギー物質の吸収

このような点で、自然素材を取り入れ部屋の空気をきれいに保つことも大切な要因ですね。

⑥リラックスできる内装の色(精神的に落ち着く)

内装の色は、精神的なところにとても影響します。

意識していなくても、内装の色は無意識に視覚へ入っています。

一般的に、「真っ赤な部屋」では落ち着きませんし、「真っ黒な部屋」では前向きにはならないですよね?

視覚から入る色の情報は、リラックスする、落ち着くことにとても深く影響するものです。

基本は白系やベージュ系とすることが一般的で、その理由は以下の通りです。

■白系
白は「清潔感」があり、部屋を明るく見せる効果があります。

何にでも合わせやすい白色は膨張色でもあり、部屋を広く見せる効果もあります。

ただし、「真っ白」というのは落ち着かない面がありますので、少しクリームがかった色をチョイスするよう注意が必要です。

内装の色というのは面積が大きくなると、その色の特徴が強く出る面があります。

そのため、展示場やモデルルームで広い面に使われている事例を実際に見て頂くことをおすすめします。

■ベージュ系
ベージュも内装には多く使われる色ですね。

ベージュには「保護色」という温かみを感じ、リラックスする効果があります。

白系と同じく、膨張色でもあるので部屋を広く見せることもできますので、基本はこのベージュ系と白系を使用することが多くなるわけですね。

アクセントに入れる色の特徴


緑はリラックスする効果が高い色の代表的なものです。草木などの自然の色がそうですね。

畳もそうですし、和室にもよく合う落ち着きのある色となります。


茶色も落ち着きのある色で、「土」や「樹木」の色ですので、リラックス効果があります。

フローリングがそうですね。床は落ち着きのある茶系とすることが鉄則となってきます。

内装の色の基本的な決め方
床には茶系の多少の重みと「落ち着きのある色」を使い、壁や天井には「明るさ」「清潔感」「膨張色」である白系やベージュ系をもってくるという手法を使います。

 


青は落ち着きや知的、静寂なイメージを持つ色です。

海の青、空の青など、奥深さも備えていますね。

強い寒さや冷たさを持つ色ですので、大きな面積には使いづらい色ですが、仕事や勉強部屋に、「部分的に」使うと集中できる環境となります。


内装に取り入れるのはちょっと勇気が必要かもしれませんので、カーテンなどに青色を使うのも良いですね。

※「冷たさ」の色でもあるので、冬は寒さを感じますので、ご注意を。


赤は興奮色で情熱的でアグレッシブなイメージ色となります。

特に、ビビットな赤は交感神経を刺激するので、内装として使うには難しい面があります。

そのため、キッチンや部分的な家具に使用する程度にとどめる方が無難と言えますね。

■黒系
黒は高級感があり、シックで引き締まったイメージとなります。

しかし、黒はずっしりとした重みと、暗さが生じますので、外部に使うならまだしも、内部では使う面積に注意が必要です。

⑦「ストレス」の無い動線計画・間取りに

イライラする、使いにくい間取りではストレスが溜まりますよね。

メイン動線に遠回りがあったり、プライバシーが保たれない、

そんな間取りに、

「あー、使いにくい!」

ってなってしまうとストレスが溜まります。

健康的な生活のためには、ストレスは大敵です。

・ストレスのないスムーズな家事動線でストレス軽減!

動線で結構重要なのは家事動線です。

中でもキッチンから、洗濯室~物干しスペースの一連の動線が遠いと、家事の負担が大きくなります。

水回りを隣接させて、あっちこっち歩き回らなくて良い動線としたいところです。

キッチンと洗面水回りが遠い間取り例
キッチンと洗面水回りが遠い間取り例

できれば、下↓↓↓の間取りのように、キッチンと、お風呂・洗面の「ランドリースペース」とは近接するように計画できればベストです。

キッチンと洗面水回りが比較的近い間取りの例
キッチンと洗面水回りが比較的近い間取りの例

・「落ち着きたい」場所の周りに動線がある

落ち着きたい、集中したい場所である、リビングやワークスペースのまわりに動線があるとイライラします。

例えば、リビングのソファとテレビの間に動線があったり、ダイニングテーブルの周りを回遊動線があったりすると落ち着かないものです。

リビング周りにいろんな動線がある間取り例
リビング周りにいろんな動線がある間取り例

・プライバシーも重要!

そして、プライバシーにも配慮が必要です。

家族が集えるオープンな間取りは家族のコミュニケーションにはとても大切ですが、もちろんプライバシーも大事ですよね。

ご夫婦の寝室も、プライバシーを確保したいものです。

リビングに接している寝室の間取り例
リビングに接している寝室の間取り例

上の図のように、リビングに隣接した寝室では、落ち着きません。同じように、2階でも、寝室が吹き抜けに面していると、落ち着きませんね。

ご夫婦がリラックスできる配置でないと、健康的ではありません。

これらの要因をうまくまとめることが肝心

このように、健康的な住まいのためにはいろいろな要因があることがわかります。

ただ、それぞれの要因を知っているだけではうまく組み込んでいくことは難しいものです。

日当たりや風通しの窓を多く設けてしますと、断熱性を低下させることになってしまいます。

また、内装の色も無難な白系統ばかりで間取りもなんの面白味もない、フツーの家ではちょっと楽しみがないということにもなりかねません。

健康的な住まいのための7つのポイントを、「バランスよく採り入れる」ことと、「楽しみながらこだわる」ということが、とても大切です。

そのためには、バランスを図るためにも、必ずプロの意見が必要になります。

そのために、ハウスメーカーや工務店の担当者だけでなく、広い視野でチェックのできるセカンドオピニオンを頼ることも有用なことになります。

また、広い視野を身につけるために知識を得ることも必要ですので、私のメルマガ講座も是非とも参考にして頂いて、あなたの家づくりに活かしてください。

※noteでも家づくりのコラムや記事を書いていますのでまたお読みくださいね⇒takumiのnote

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