はじめに

間取りを計画するときに「明るい部屋」とすることは、健康的で心地よい住まいとするためには基本中の基本です。

明るい部屋とするためには、長い時間太陽の光を得られる南向きに部屋を配置することが鉄則となります。

太陽光の平均照度は屋外では32,000ルクスから、晴天では100,000ルクスもあります。しかし、室内の照明の照度では200ルクスから300ルクス程度と、太陽光はケタ違いの明るさです。

陽の当たるLDKの写真
陽の当たるLDK

照明や内装の色によっても部屋の明るさは変わりますが、できるだけ自然の太陽光をうまく取り入れて、快適な住まいとしましょう。

季節によって太陽の角度は異なる

chuugakurika.comより引用

太陽の南中高度は、地球の地軸が23.5度傾いているためによるもので、四季によって太陽の角度が違ってきます。

そのため、一番太陽の低い冬至の太陽高度により日当たりを検討し、太陽の角度が低い冬の日当たり具合を確認する必要があります。

3Dの日照シミュレーションソフトを使うような方法もありますが、日当たりを確認する方法は実はとても簡単で、季節ごとの太陽の角度を計算し、建物の断面図に書き込んでみることで検証することができます。

各季節の太陽南中高度

春分、夏至、秋分、冬至のそれぞれの南中時の太陽高度は、以下の式で計算することができます。

春分の太陽南中高度 = 90度 − 計測点の緯度

夏至の太陽南中高度 = 90度 − 計測点の緯度 + 23.4(地軸度)

秋分の太陽南中高度 = 90度 − 計測点の緯度

冬至の太陽南中高度 = 90度 − 計測点の緯度 - 23.4(地軸度)

例えば、東京であれば北緯は35.5度くらいですので、

春分と秋分の太陽高度は
90-35.5=54.5度

夏至の太陽高度は
90-35.5+23.4=77.9度

冬至の太陽高度は
90-35.5-23.4=31.1度

となります。

冬至の太陽高度で光の入り具合を確認

 一番太陽の角度が低い冬至でリビングなどの部屋に太陽光が入るかを検証します。 

東京の場合は、冬至の南中での太陽高度は約31度ですので、この角度で南側隣地の建物の影になる範囲を確認することになります。

敷地の南側にスペースがある場合

南側に庭などのスペースがある場合は、南側の隣地に2階建ての建物が建っていても、冬至の太陽高度で日当たりが確保できていれば、図のように真冬でも採光が見込めるということです。

敷地の南側に余裕がある場合の冬至の太陽光の当たり方
敷地の南側に余裕がある場合

もし、南側隣地に建物が建っていなくても、将来的に建てられることも予想されます。

そのため、南側の隣地が今は空き地や駐車場であっても、自分の敷地内で南側を空けることができるのであれば、日当たりを確保するために南側には庭などの空間を空けておくことが望ましいとなります。

敷地の南側にスペースがない場合

南側に余裕が無い場合には、南側隣地の建物が影になって、直接太陽光が入らないため、真冬の太陽光をリビングに取り入れるように工夫が必要になります。

南側に隣接している建物の配置や高さにもよりますが、主な手法としては以下の通りです。

吹き抜けをつくり、高い位置から光を入れる

南側に建物が接近している場合は、できるだけ高い位置に窓を設置して、光を取り入れる必要があります。

そのためには、「吹抜け」を作ることで、吹き抜け上部の窓(ハイサイドライト)から光を取り入れることができます。

吹き抜けの高窓から光を採り入れる

吹抜けを設ける位置は、必ずしも1階の南面と同面でなくても可能です。隣地の建物の高さや接近具合により、吹抜けを北へセットバックすることで部屋の奥に光を取り入れる方法もあります。

吹き抜けをセットバックし効率よく光を採り入れる

ただし、吹抜けにはデメリットもあります。

部屋の体積が増えることや暖かい空気が上昇してしまうことで暖房の効率は落ちます。

また、音も筒抜けになる可能性が高く、リビングと吹抜けに面した2階の部屋やトイレの音が聞こえてしまいます。

さらに、吹抜けは「床が無い」空間ですので構造的にはウィークポイントとなりますし、高い位置の照明や窓の維持管理も考えておかなければなりません。

このようなデメリットも把握した上で検討していただきたいと思います。

2階にリビングを持ってくる

もうひとつは、リビング自体を2階にもってくる方法です。

リビングを2階に配置

ただし、生活の中心であるリビングを2階に持ってくると不便と感じることも多くなるため、動線計画には十分注意が必要です。

夏至の太陽高度で真夏の直射日光を避ける

太陽は「明るさ」ともうひとつ、「暖かさ」
得ることができます。寒い時期には積極的に太陽光を取り入れたいものですが、暑い夏にはできれば避けたいものです。

夏至の太陽高度を検討することにより、真夏に直射日光が入らないように「庇」や「縁側」を設けることにより調整することもできます。

庇により太陽の影響を調整
庇により太陽の影響を調整

このように、夏の日差しはきついのですが、太陽高度が高いため、庇や縁側により、直接入り込むのを防ぐことができます。

昔からの和風建築では、縁側という「緩衝帯」を設けることにより、暑い夏の日差しを和らげる知恵があったのです。

逆に、寒い冬は太陽高度が低いため、部屋の奥まで光を取り入れることができるという、先人達のすばらし知恵ですね。

縁側の写真
縁側

日当たりの検証例

実際の断面図で検証してみるとこんな感じです。

断面図での日当たりの検証
断面図での日当たりの検証

こちらは南側に2階建ての住宅が建っており、敷地面積にも余裕がなく、南側との外壁間の距離が少ないため、3階建ての計画で2階にリビングをもってきている例です。

冬至の日差しは確保できています。2階にリビングをもってきたおかげで、冬にも日当たりの良いリビングができています。

また、夏至の日差しについては2階にバルコニーを設け、直上に3階部分が乗っているため、3階部分が庇代わりとなって、夏至の直射日光を防いでいますね。

東面や西面からの採光

東側の窓は朝日を取り入れたい

朝日は東から昇ります。朝日は健康的な生活には欠かせません。朝起きて朝日を浴びることは人の体内時計を正常に戻し、1日の生活のスタートを切るスイッチとなります。

そのため、寝室には東面の窓を設けると、清々しい朝を迎えられるということです。

※寝室に窓を設ける際に注意頂きたいことは、窓の高さです。寝室にベッドを置く際、窓際に設置する場合がありますが、ベッドで高くなった分、通常の腰窓では落下する危険が高くなってしまいます。そのため、 ベッド際の窓は高窓にしたり、落下防止策を設けるといった対策は必要 になります。

西日には要注意

太陽は西に沈みますので、西の窓は沈む夕日を感じられます。

注意が必要なことは、夏の西日です。夏の昼間は太陽高度が高いため、部屋の奥まで日差しは入り込みませんが、夕方になると太陽高度が低くなるため、西側の窓はきつい日差しを受けることになります。

西側の窓はむやみに大きくしないよう配慮が必要ということです。

まとめ

太陽は季節によって角度が違い、一日のうちにも方位と角度が異なります。

健康的な住まいづくりには「日当たり」は欠かせない要素です。

基本的にはリビング南面の窓で、最も太陽の高さが低い冬至の太陽高度で検討しますが、夏の日差しを遮ることや、「朝日」や「西日」も考慮して、寝室やほかの部屋の窓もどのような日当たりとなるのかを確認しておきましょう。