はじめに
建物が完成すると、引渡しがされますが、通常はその前に施主の検査があります。
検査と言ってもあくまでもプロに任せたものですので、検査と言うよりも確認です。
そんなに気負って臨まなくていいものですし、引渡し後に分かった不具合でも通常は引渡し後でも対応してもらえますが、仕上げ材の「キズ」や「汚れ」は工事中に付いたのか、引越し屋さんが付けたのか、自分たちで付けてしまったのかが分からなくなりますので、できるだけしっかり見ておきたいところです。
現地に照明が付いて無く、少し暗い場合もありますので、仮設照明や懐中電灯を用意しておいてもらうことも必要です。
そして、引渡し検査の前には、契約内容を再確認しておきましょう。
契約内容では、工事に何が含まれているか、どのような仕様だったかをきちんと確認しておいてくださいね。
確認すべきチェックポイント
仕上げ材のスキマ、キズ、汚れなど
クロスやフローリングなどのスキマ、キズ、汚れはできるだけ確認しましょう。
壁のクロス
クロスは「チリ切れ」と言ってジョイント箇所が乾燥により隙間が空いてくることがあります。チリ切れはシーリングなどで補修してもらいます。
チリ切れは引渡し後も出てきますので、施工者の引渡し後の点検(〇年後点検)などで補修をしてくれるか確認しておきましょう。
床
フローリングは少々のキズは仕方ないのですが、目立つキズはちゃんと指摘をましょう。
※フローリングは、多少のキズは仕方ありませんが、目立つ大きなキズは張り替えてもらうことも必要です。
畳は各畳の隅が浮いていることがあるので、踏んでみて確認しましょう。また、畳の裏には敷く場所の番号が振られているか(畳は場所を変えるとはまらなくなります。)、畳の上げ方も聞いておきましょう。
床は歩いてみてミシミシという「キシミ」や「フワフワ」する所が無いか確認しましょう。下地に不具合があることもあります。特に、部屋の隅は一通り歩いてみることです。
手すりやカウンター
カウンターなどの造り付け家具や階段などの手すり、吹き抜けやベランダの柵(手すり)や腰壁は、力を入れてみて強度も確認しておきましょう。
「落下防止」に必要なものは、ちょっとやそっとの力で「ミシミシ」いうようでは危険です。しっかりと確認してくださいね!
収納などの「棚」もグラグラしないか、どのくらいの重さに耐えられるのかを確認しておきましょう。
外壁や基礎
外壁材も一通り見て、確認しておきましょう。
傷が付いていないか、汚れが酷くないかといったことです。
窯業系のサイディングの場合、少々の傷ならまだしも、クラックが入っていたりすると(程度にもよりますが)補修で済まさずに、やり替えてもらうことも必要です。
基礎はクラックの確認がメインです。基礎の仕上げはモルタル塗りとなることが多いので、そのモルタルのクラックを確認してください。
通常、髪の毛のような細さのクラック(ヘアークラックといいます)程度なら、下地のコンクリートではなくモルタルの乾燥収縮によるクラックですので、気になるようならモルタルの「補修」をしてもらえば問題ありません。
ただし、幅が1mmもあるようなクラックなら、中の鉄筋コンクリートに不具合がある可能性があります。きちんと調査をさせて、対応を協議しましょう。
出来栄えの確認
建築の工事は出来上がれば良いというものではありません。「出来栄え」は大切な要素ですね。
「隙間」、「ゆがみ」、「ズレ」といったことも念頭に入れて検査をしてください。
- 引き戸や開き戸が閉まった状態で隙間はないか
- 巾木と床や壁の間に隙間はないか
- 壁のクロスが波打っていないか
といったような、見た目の出来を見ていきます。
このような見た目の不具合は、その下地や構造に問題が隠れていることもあります。
出来栄えは、全ての部位において見ていくことが必要ですので、室内全体を広く見渡し、「違和感」が無いかを探してみてください。
人間の感覚は結構、鋭いものですので、「ぼんやりと全体を見渡す」と、まっすぐではないものや隙間は以外と気がつくものです。
臭いの確認
臭いというのは仕上げ材のシックハウスの関係です。
仕上げ材や内装業者の接着剤はシックハウス対応型のため、臭いは問題ないことが多いのですが、たまに設備業者の配管などの接着剤が揮発性のものがあります。
部屋の中もそうですが収納の中やキッチンキャビネットの戸を開いてみたり、床下点検口の中を嗅いでみたりもしてください。
建具の確認(外部サッシ、室内のドアや戸等の建具)
建具については、実際に開け閉めしてみて不具合がないか確認しましょう。
固かったりがたついたりする場合は調整が必要です。
特に、玄関ドアはスチールですので最も重い建具です。全開してみる、ストッパーの効き具合、閉まるスピード、しまった時の隙間、に注意しておきましょう。
クレセント等の鍵の締まり具合も確認してください。
ドアのレバーもガタツキが無いか、逆に遊びが少な過ぎないかも確認しましょう。
滑り出し窓などのハンドルタイプの開閉窓は開閉装置が壊れやすい面がありますので、開閉に問題が無いか動かしてみてください。
特に、手の届かないサッシの開閉装置(ハンドルやチェーン)は確かめておきましょう。
室内のドアは「戸当たり」や「ストッパー」が全てあるかも確認が必要です。
網戸やシャッター、雨戸も同様に動作確認は必要です。
また、サッシや建付け家具などの留付けにあたっては「ビス」忘れはよくある事ですす。ビスの穴があるのに締め忘れていることもよくあります。
点検口の中を覗いてみる
見えない部分の確認として、床下点検口や天井点検口を開けてみて、懐中電灯で確認しましょう。
点検口を覗いて、まずはゴミや材料などが残されていないか、清掃がてきているかを確認してください。結構ゴミが残ってるものです。
天井点検口では外壁側や天井面の断熱材が全面に施工されているかが確認できます。
ただし、防火構造など防火性能を有する外壁面は内側に石膏ボードが貼ってあり断熱材が確認できないこともありますので、気になれば施工者や工事管理者に確認しておきましょう。
電気・設備機器の確認
電気や設備機器は電源が入るかは確認しておきましょう。照明のスイッチの位置の確認も必要です。
ドアを開けて照明のスイッチが無いと思ったら、ドアの後ろに隠れていたなんてお粗末なこともあるんです。
スイッチやコンセントなどの位置は図面や打ち合わせと違うこともよくありますので、間違っていたら必ず指摘するようにしてください。
ガスについてはガス漏れの検査の結果があるか、水道や排水の漏水も工務店の点検結果を確認しておきましょう。
まとめ
引き渡されたからといって、その後は何も聞いてくれないなんてことは普通はありません。
施工不良によるものはもちろん、各部の保証期間や瑕疵担保履行法もあり、後々も対応してくれることがほとんどですが、やっぱりスッキリと引渡しを受けたいですよね。
とにかく一通り見れるところは全部見て、開け閉めする所、動くところは全部動かしてみましょう。
思ってもなかった不具合も出てくるものですからね。
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