注文住宅の欠陥(瑕疵)に備えるには?~瑕疵担保責任の概要を知っておこう!

はじめに

こんにちは。

建築コンサルタントのtakumiです。

マイホームを建築する、または購入することは消費者にとって、たいへんリスクが高いものですよね。

何千万円もかけた住宅に、ミスや手抜きがあって、大きな欠陥(瑕疵:かし)があったらどうなるのでしょう。

住宅の品質においては、耐震性や耐久性、防火性、防水性といった基本的な性能が確保されていることが最低条件です。

基本的な性能を担保する制度として、法律でも「瑕疵担保責任」があることを知っておく必要があります。

品確法による工事の補償制度

住宅の品質確保の促進等に関する法律

住宅の基本的な品質を確保するために、2000年に施行された、

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法といいます)

により、工務店やハウスメーカーなどの「事業者」は住宅を引渡したあと10年間、瑕疵担保責任を負うこととなっています。

瑕疵担保責任というのは、簡単に見つからないような欠陥(瑕疵)があった際に、住宅を供給した事業者(工事業者)がその責任を負わなければならないことを指しています。

法的に、工事の欠陥は業者が対応しないといけないことになっているのですね。

ただし、瑕疵担保責任が義務付けられていても、事業者にその瑕疵を修補する「財源や資力」がなければ担保義務といえども対応できないことになってしまいます。

瑕疵担保履行法とは?

そこで、2009年に施行された「瑕疵担保履行法」によって、事業者は瑕疵担保責任を果たすための資力を確保する措置を講じなければならないとされています。

欠陥があった際に、不具合部分を補正するための工事費を捻出する方法を作っておかないといけないんですね。

瑕疵担保履行法で、事業者に義務付けられた資力を確保する手段は、以下の2種類です。

住宅瑕疵担保責任保険への加入
事業者が、国土交通大臣が指定した保険法人と保険契約を締結して、住宅瑕疵担保責任保険に加入します。なお、修補への工事費用は最高2000万円まで支払われることになっています。

 

保証金の供託
事業者が、供給した新築住宅に応じた額の保証金を10年間法務局などの供託所へ預けます。

瑕疵保険に加入している事業者を選ぶべき!

事業者は資力を確保するために、「住宅瑕疵担保責任保険」か「保証金の供託」か、どちらでも良い訳ですね。

しかし、業者を選定する際は瑕疵担保保険に入っている業者を選ぶようにしましょう。

その理由は、、、

瑕疵担保保険では、保険各社の設計・施工基準がありますので、業者は設計段階で審査を受けます。

基準自体は「構造」と「防水」に関するもので、オーソドックスなものが多く、特段機能的に向上するものではありませんが、建築基準法には無い基準であるため、有効なものといえますね。

また、工事中に現場検査(3階建てまでは2回)があり、3階建てまでであれば、

「基礎の工事中の検査」、「躯体工事中の検査」

の2回の検査があります。

現場の検査は、保険会社から委託を受けた検査機関が検査をします。

検査内容は部分的ではありますが、建築士が検査をしますので、第三者の建築士の目でチェックが入るというメリットもありますね。

事業者が倒産していたらどうなる?

瑕疵担保保険の補償は、瑕疵が見つかったあと事業者が修補の工事をした後に支払われます。

しかし、事業者が倒産してしまっている場合には、瑕疵担保責任による修補ができないために、保険会社から保険金を支払われず、消費者が保護されないことになってしまいます。

これを解消するため、消費者への救済措置が設けられており、保険会社に直接補修請求するか、法務局等の供託所の還付請求すれば補修費用は戻ってくることになっています。

工事業者が倒産してしまったからと、泣き寝入りはせずに済むわけですね。

⇒住宅瑕疵担保責任保険について(国土交通省)

瑕疵担保が適用される範囲は?

では、その「瑕疵」の範囲はどこまでなのでしょう。

品確法では、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の侵入を防止する部分」の瑕疵についてのみが、事業者が10年間の瑕疵担保責任を負うことになっています。

構造耐力上主要な部分とは
構造耐力上主要な部分は、木造住宅では、基礎、杭、柱、梁、耐力壁、小屋組、土台、斜材(筋かいや火打材など)、床版、屋根材などが該当します。

⇒構造耐力上主要な部分とは、構造的になくてはならない部位です。そのため、内装など表面的な仕上げ材は含まれないことになりますね。

雨水の侵入を防止する部分とは
雨水の侵入を防止する部分とは
・住宅の屋根と外壁
・住宅の屋根、外壁の開口部に設ける戸、枠等の建具→具体的にはサッシなどを指す
・雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、住宅の屋根もしくは外壁の内部または屋内にある部分

⇒雨漏りの原因となる建物の外側を覆う材料ですね。ルーフバルコニーの床や雨水の排水口(排水ドレーン)も対象となります。

このように、建物にとって重要な構造と雨漏りに関する「見えなくなる部分」がメインということですね。

ちょっと難しいのは、例えば壁のクロスがひび割れてきた場合、何が原因でひび割れたかが重要なポイントになります。

クロスのひび割れが、単に乾燥によるものであれば瑕疵の対象にはなりません。しかし、これが建物が傾いてきたことが原因であれば、瑕疵担保責任の対象になる可能際がある、ということです。

しかし、目に見えてきた不具合を「構造上の欠陥」であることを立証しなければならないといった原因究明をしなければなりません。

これが難しいところでもあります。

また、「地盤」自体は保証の対象ではありません。単に地盤沈下しただけでは瑕疵にはならないんですね。

しかし、地盤が軟弱であるまま工事業者が基礎工事を行い、そのために不同沈下が生じて基礎にクラックが入ったり、建物に歪みが生じて来た場合は、「基礎」の瑕疵として瑕疵担保責任を負うことになります。

建物が「無傷」でフラットな状態で地盤が沈下しても、瑕疵にはならない可能性があるんですね。

中古物件への瑕疵担保責任は?

品確法による瑕疵担保責任や、住宅瑕疵担保責任履行法による資力確保は、新築住宅が対象ですので、中古住宅には適用されません。

中古住宅については不動産会社の場合は宅地建物取引業法の規定によって、引渡しから2年以内の特約があります。ただ、個人が売主の中古住宅については規定がないため、瑕疵担保責任を問えない場合があります。

これを補うものとして既存住宅売買瑕疵保険がつくられており、国も推奨しています。
これは、中古住宅を検査機関が検査し、保険会社が保険を付けることで、引き渡しから1~5年間の瑕疵担保責任を付けるものです。

ただし、この対象となる住宅は1981年施行の新耐震基準を満たしているものとなります。

中古物件は「既存住宅売買瑕疵保険」の有無を確認しておかなければいけませんね。

まとめ

注文住宅では、構造の不具合や雨漏りといった重大な欠陥(瑕疵)に対しては工事業者に10年間の瑕疵担保責任が生じるため、瑕疵が見つかった場合はきちんと補償して貰えるということですね。

工事の契約の際には、工務店が瑕疵担保責任の費用の確保を、瑕疵担保保険なのか供託金なのかを、きちんと確認することが必要です。

注意して頂きたいことは、そのような欠陥(瑕疵)を立証しなければならないことと、もうひとつは、「10年間」というタイムリミットがあるということです。

11年目以降はこれらの法律は適用されません。

雨漏りも構造的な不具合も、本来は何十年も保証して欲しいところですが、10年という期間は工事業者が守られていることになりますね。

やはり、適切な設計があり、ミスや手抜きのない工事をする信頼できる施工者(工事業者)が必要です。

さらに、それをきちんとチェックする工事監理者がいてこそ、安心できる家づくりでといえるものです。

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