はじめに

注文住宅の相談や瑕疵で、とても多いものが雨漏りに関することです。

住宅リフォーム・紛争処理支援センターの統計では、毎年、全体の相談のうち1.5割~2割近くを「雨漏り」が占めています。

 

凄く多いんです、雨漏り案件!

 

建築の技術は日々進歩していますが、この「雨漏り」対策に関しては、たいして進歩していません。進歩していないのにデザイン重視やローコストで必要な対策が削られてしまっているんですね。

木材をはじめ建材の多くは水に弱いため、雨漏りが進行すると、加速度的に建物が傷むことになり、また、カビや腐食が発生し衛生的にも悪く、健康を害する原因となってしまいます。また、電気設備が故障する原因にもなります。

また、いったん雨漏りをしてしまうと、どこから雨が侵入しているのか原因を突き止めることが難しい場合もあり、計画段階で十分対策しておかなければなりません。

原因が掴みにくい!

これが大変なんですね。

雨漏りをしない住宅を考えることは基本的なことです。設計者や施工者は雨漏りしない住宅を作るよう計画しなければならないのですが、実はそれができていないものが多いんですね。

品質の高い住宅とするためには、雨漏り対策は当然なのです。

雨漏りの原因はどこが多い?

雨漏りの原因は多岐に渡り、工事の施工(手抜きや瑕疵)に原因があることも当然あるのですが、設計自体に問題があるものも多いのです。

工事の施工が原因のものでは屋根や外壁の下地である防水シートやルーフィング類などを仕様通りに施工していないこともあげられます。

ただ、最近ではデザイン優先やコスト削減のために、そもそも雨漏りがしやすい形となっている建物が多く、設計自体に問題があるといえます。

雨漏りのリスクを考えた設計をしてもらうことが大切なんですね。

屋根の形はシンプルがいい!

谷樋の写真
谷樋の例

屋根の形はまずはシンプルが一番です。屋根には水が集まる「谷」ができないように計画することが基本です。谷の部分には谷樋を設けますが、雨漏りするリスクが高い部分になってしまいます。

また、最近はデザイン上やコストを抑えるため、また、太陽光発電パネルを載せるために、片流れの屋根も多くなっています。

片流れは水上では屋根と外壁との取り合いが雨に当たりやすくなり、ジョイント部分で雨の侵入リスクが高くなってしまいます。

片流れ屋根の納まり図
片流れ屋根の「水上」納まり図

最近の住宅では雨漏りをした7割以上が片流れの屋根形状であったという調査結果もあります。

特段、屋根の形にこだわりが無ければ、雨漏りのリスクが少ない切妻や寄棟など「昔からある一般的な形状の屋根」を選択することが大切です。

屋根の勾配は適度な勾配を!

屋根はある程度の勾配がないと雨水がスムーズに流れないため、雨漏りの原因になります。

ゆるい勾配では強風の横風で逆流することもあり、棟やジョイント部分に水が侵入することもあります。

屋根勾配の図
屋根の勾配

また、勾配がゆるいと屋根の表面に汚れが付着しやすく、屋根材の劣化が早まる恐れもあります。

屋根勾配の目安としては以下の通りです。

屋根勾配の目安

■金属系の屋根
必要な勾配⇒1/10以上(1寸勾配以上)

■スレート屋根
必要な勾配⇒3/10以上(3寸勾配以上)

■瓦屋根
必要な勾配⇒4/10以上(4寸勾配以上)

しかし、屋根は勾配をきつくすればいいというものでもないんですね。

急勾配になると、真横から風を受ける面積が大きくなるため、構造上も不利になることや、屋根面積大きくなることやが施工の難易度も上がることでコストアップになってしまいます。

軒先は出ているか?

最近はシンプルな建物の形状が流行りなのか、屋根の軒先が出ていないものが多くなっていますね。

デザイン的には別に文句を言う気は無いのですが、軒の出が無い建物は雨漏りのリスクが高くなるのは事実なのです。

軒の出がない屋根の図

理由としては、外壁の一番上の軒先と外壁の取り合い部分からの雨の侵入が多くなるからです。

軒の出が無いものも雨仕舞い(あまじまい:雨漏りをしないように対策すること)をしっかりと行えば、すぐに雨が入ることもありませんが、台風などの暴風雨では雨が重力に逆らって、隙間から侵入してくる可能性は高くなります。

また、軒先は通常の雨では外壁に直接雨が当たることを防いでくれますので、外壁の寿命にも影響します。

軒の出があれば、窓から雨が直接降りこむことも少なくなります。軒の出が無かったら窓を開けている時に雨に降られると、かなり部屋の中まで降りこんでしまいます。

トップライトは雨漏りのリスクが高くなる

トップライト(屋根)の写真
トップライトの例

屋根のトップライト(天窓)も雨漏りの原因となりすいアイテムです。

トップライトなどのサッシはそれ自体は雨漏りすることは少ないものですが、屋根材とサッシとの取り合いは、雨仕舞いはするものの、最後はシーリングで処理します。

このシーリングは当初はいいのですが、そのうち硬化してしまい機能が無くなるものですので、屋根材とサッシとの隙間から雨水が侵入してくるケースがあります。

また、外壁面のサッシとは違い雨を垂直に受け続けるため、それだけ雨漏りのリスクも高くなるということもあります。

できればトップライトは避けましょう。

軒樋は適度な大きさで外に出す!

軒樋(のきどい)の付け方にも配慮は必要です。

軒を出して軒先に樋を付けるものが一般的ですが、中にはデザイン重視のため樋を屋根(軒)に入れ込んだ「内樋」や、軒の出が無く外壁面に樋が掛かっているものも見受けられます。

内樋(屋根)の図
内樋の例

このような軒樋の付け方も雨漏りの原因となりやすいです。

軒樋は飛散した砂や落ち葉などがどうしても詰まってきますので、軒樋が詰まってしまった場合に、が内樋となっていたり、外壁に近いと、溢れた水が外壁から屋内に入り込む恐れがあります。

軒樋は必ず軒先に設置です。

ルーフバルコニーは要注意

バルコニーのすぐ下が部屋(建物内)であるものをルーフバルコニーといいます。

ルーフバルコニーは床がフラットですので、屋根工事ではなく「防水工事」となりますが、防水は通常の勾配屋根と比べても耐久性が劣り、保証期間の10年を過ぎた頃から劣化してきます。

そのため、バルコニーの下はなるべく外部とするべきです。どうしてもルーフバルコニーとしたい場合は、バルコニーの上部にすっぽり屋根がかかるように配慮するとだいぶリスクは軽減できるでしょう。

また、防水の種類も注意しましょう。

ウレタンやFRP防水※といった「塗膜防水」よりも、最近では、金属板を被せる「金属防水」の方が耐久性がよく、多く採用されています。

※ガラス繊維強化プラスチックを主原料とした塗膜防水です。

外壁(建物)の形も注意

外壁も劣化すれば雨水が侵入することはあります。

通常、外壁の表面はクラックが発生しするとそこから雨が侵入することがあります。また、外壁のジョイント部分のシーリング等が劣化し防水性能が無くなれば、そこからの雨の侵入も考えられます。

しかし、外壁には下地の防水シートもあるため、きちんと施工していれば外壁面での雨漏りは稀です。

注意が必要なのは屋根と同じく形です。雨が集まりやすい入隅や、庇・下屋の根元の外壁との取り合い部分は隙間がありシーリングで処理していることが多いため、雨が侵入するリスクがあります。

雨漏りの保証はどのようになっている?

雨漏りの保証は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」によって、工務店やハウスメーカーなどの「事業者」は住宅を引渡したあと10年間、瑕疵担保責任を負うこととなっています。

10年以内であれば、無償で雨漏りの対策工事をしてもらう事はできます。しかし、一度雨漏りをすると、雨漏りをしやすい構造であればまた雨漏りしてしまうことも多いものです。

また、当然ながら10年経過すると瑕疵担保責任が無くなりますので、11年目以降は雨漏りが生じるとあなたの費用で直さなくてはなりません。

10年間の瑕疵担保責任があるからといって、雨漏りの対策を疎かにしてはダメなんですね。

まとめ

雨漏りは適切な設計ときちんとした工事によってリスクはかなり減らせるものです。

逆に、デザインを優先したり、工事のコストを下げるために必要な対策を省いてしまうと、雨漏りは起こるべくして起こることになるんですね。

雨漏りしやすい家の写真
雨漏りしやすい形の例

最近は「片流れ」でしかも「軒の出が無い」、「勾配が緩い」住宅も多く、屋根の形としては最大級に雨漏りのリスクが高いといえます。

デザインに凝ることも、コストを下げることも悪いことではありませんが、その分、雨漏りの対策は万全にしておきたいものです。