はじめに

外壁材には様々なものがあり、何を使えば良いのか迷ってしまう事はよくあります。街中で見かける住宅の多くは窯業系サイディングなどの既製品のサイディングです。ここでは主要ものの一部をご紹介し特徴を解説します。材料にはそれぞれ特性があり、メリットもデメリットも存在します。

外壁材に求めるものはデザインはもちろんですが、その他の機能性に着目して選ぶようにしましょう。

住宅の外壁に必要な性能

外壁を選ぶ際に検討する、外壁に求める性能としては以下のような項目があります。

✧デザイン(意匠性)
まずは見た目、デザインとなりますね。いくら機能が優れていても気に入ったデザイン、心地よい風合い、色合いでなければすぐに飽きてしまいます。ぜひ、見た目から入ってください。

✧防火性
外壁は外部の火災を遮る大切な役割があります。また、火を出してしまった際の周りへの延焼を防ぐことも大事です。

必要な防火性能はその地域や階数によって異なります。住宅地でも準防火地域といった防火性能を高める必要のある地域であれば、建築基準法に適合するように外壁を防火構造とするなど、必要な防火性能を確保しなければなりません。

✧断熱性
快適に住むために欠かせないのが断熱性能です。近年では国をあげての省エネルギー対策により住宅の断熱性能に力を入れる業者も多くなっています。

注意したいことは、外壁材自体の断熱性能はもちろん必要な要素ですが、外壁材自体の断熱性能はしれていることや外壁の通気工法により、実際に断熱効果を発揮するのは壁の中に仕込む断熱材が重要となってきますので、サイディングなどの表面材料は断熱性能の算定には考慮しません。

外壁の一般的な仕様

そのため、外壁材は通気工法の場合には断熱性能はあまり気にせずに選んでください。

✧耐震性
木造や鉄骨造の外壁は、一般的には全て「非耐力壁」といって耐震性とは直接関係はありません。構造体ではありませんので、外壁材が地震に対抗するのではなく、地震によって脱落したり外壁自体が壊れないことが重要です。

しかし、外壁材が重い場合は建物全体の重量が増加し、耐震性に不利に働きますので構造上の対処が必要な場合もあります。

※構造計算をする必要がある場合は外壁の重さも考慮されますが、在来木造の簡易チェックでは外壁の重さは考慮しません。タイル張りなど荷重が重くなる外壁は設計者が構造検討で配慮することが必要です。

✧防水性
どのような外壁でも完了時は雨漏りしないことが当たり前ですが、経年によりメンテナンスが必要です。

外壁材は「面」で雨水が侵入することはありませんが、必ず存在する「継ぎ目」はシーリングで処理されていることや、材料によっては「クラック」が発生することもあり、例えばサイディングであれば、経年劣化に応じて再塗装やシーリングの改修など、こういったものを適切にメンテナンスしていくことが防水性を維持するために必要となります。

✧耐久性
外壁の耐用年数には決められたものはありませんが、ある程度の目安はあります。表面の仕上げ(塗装のグレード等)やメンテナンスによって変わって来るものですが、できれば長持ちする材料を選定したいものです。

✧メンテナンス
外壁は常に外気にさらされており、雨風を受けていますので、基本的には何らかのメンテナンスは必要です。多くの外壁に共通することは継ぎ目のシーリングの打ち替えが必要になることです。また、サイディングなどの塗装品は塗装の塗り替えをすることも必要になります。

継ぎ目のシーリングは通常は10年もすれば劣化してきますし、塗装は表面のコーティングにもよりますが15~20年位で塗り替えの時期はやってきます。

✧遮音性
一般的に遮音性は重量が大きく厚みがある方が優れていることになります。そのため、厚みが15mm前後のサイディングだけではほとんど遮音性はありません。普通の住宅では外壁材、断熱材、内装の石膏ボードなどでは遮音等級D-35~40程度(日常の会話は微かに聞こえ、ピアノや大きなステレオ音ははっきり聞こえる)こととなります。

一般住宅ではあまりありませんが鉄筋コンクリートの壁(鉄筋コンクリート造)は遮音性に優れていることになり、D-50以上が可能となります。また、発砲性のコンクリートであるALCパネルもサイディングに比べれば遮音性は上です。

遮音等級の目安
ピアノやステレオなどの大きい音
D-55=かすかに聞こえる
D-50=小さく聞こえる
D-45=かなり聞こえる
D-40=曲がはっきりわかる
D-35=よく聞こえる
※日本建築学会「建築物の遮音性能基準と設計指針」より引用

しかし、防音室のような静寂な部屋を求めるのであれば一般的な仕様では対応できませんので、別途対応が必要となります。

基本的に、集合住宅では遮音性を気にしますが、戸建て住宅では楽器演奏など大きな音を出さないのであればあまり気にすることはありません。

外壁の種類

外壁には様々な種類がありますが、一般的な戸建て住宅に使用される外壁は8割以上が既製品のサイディングです。サイディングは比較的利用しやすい価格帯であることや、豊富な種類から選べることで人気のある材料となっています。

サイディング

最近の住宅のほとんどが使用するサイディングですが、「窯業系」「金属系」などがあります。
サイディングの中でも「窯業系」が大多数で、次に金属系となりますが、他にも「木質系」や「樹脂系」といったものもあります。

窯業系サイディング

窯業系サイディングはセメントを主材料としてねり混ぜたものを成型して作られます。

セメント材+繊維質原料+混和材+(水)

約80%がセメント、残りの20%が強化のための繊維質や混和材などとなります。

窯業系サイディングはデザインが豊富で費用も手頃なものからありますので、ほとんどの新築住宅で採用されています。

サイディングのデザイン(ホワイト)

デザインは石積調、レンガ調、タイル調など様々なものがあります。後に出てきます金属系サイディングのようなデザインもあり、正直、迷ってしまうでしょう。また、デザインの無い無地のものもあり、現場で塗装や吹き付けをすることも可能です。

タイル調のデザインのサイディング例

ただし、○○調といった「本物そっくり」といったものでも、やはり質感は本物には劣りますので、質感にこだわりのある方は必ずサンプルや施工例を確認して採用してください。

石調のデザインのサイディング例

窯業系サイディングでは表面をコーティングした商品もあり、汚れを雨で浮き上がらせる「親水コーティング」や、酸化チタンの酸化力で汚れを分解する「光触媒コーティング」というものもあります。このような機能のあるサイディングも有用ですが、その分コストが上がることや、効果は徐々に薄れて10年も経てばほぼ無くなってしまいます。

また、窯業系サイディングには厚みも色々あり、主なものは14mm、15mm、16mmとなっていますが、主に14mmは釘止めで、15mm以上は金具止めとなります。釘止めは釘の頭が見えてきますので、(目立ちはしませんが)見た目の問題や、釘の頭が錆びてくるといったデメリットがあります。耐震性も金具止めの方が優れています。

窯業系サイディング
✧耐久性(強度)⇒耐久性は良く
✧耐用年数⇒20年~25年程度
✧メンテナンス⇒10年程経過すると表面のシーリングや塗装が劣化してくるため塗装のやり替えの検討が必要
✧価格帯⇒3,000~8,000円/㎡(特殊なコーティング有りは8,000円/㎡以上)

金属系サイディング

金属系サイディングではガルバリウム鋼板が代表的です。ガルバリウム鋼板の他にもアルミニウム、ステンレス鋼板などの金属板に断熱材を貼り付け外壁材です。

金属系サイディングの特徴はそのシャープなデザインと材料の軽さです。しかし、金属の弱点である錆に対して耐久性が無いと外壁には使用できません。アルミニウムやステンレスは錆に対して強いのですが、コストが高くなってしまうデメリットがあります。

その点、ガルバリウム鋼板は住宅でも使用できる価格帯であり、実際にも使用例は増えてきており、屋根材としても多く使われています。

■ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板のサイディング

金属系サイディングの中でも代表的といえるガルバリウム鋼板について解説します。ガルバリウム鋼板というのは、母体の鋼板にアルミニウム(55%)+亜鉛(43.4%)+珪素 (1.6%)のめっきを施した合金で、錆や腐食に強いことがメリットですが、強度が弱いことからへこんだり、傷が付いた所から錆が発生することもあります。また、沿岸地域では塩害により錆びやすいため、使用には注意が必要です。

ガルバリウムは断熱効果が高いという他の記事も見受けられますが、ガルバリウム鋼板自体は薄い鋼板ですので断熱性能は低いです。ただし、先にも述べたように通気工法では外壁材は特に断熱性能にこだわる必要も無いため、気にすることはありません。

ガルバリウム鋼板
✧耐久性(強度)⇒強度は弱いため、へこんだり傷が付きやすい
✧耐用年数⇒30年以上(沿岸地域では15~20年程度)
✧メンテナンス⇒ほとんど不要だが、傷が付くと部分的な塗装は必要
✧価格帯⇒厚みやスペック、デザインにもよるが、4,000~8,000円/㎡程度

木質系サイディング

木質系サイディングはその名の通り木材を外壁として貼るものです。レッドシダーや米松、杉やヒノキなどを貼ることがあります。

木材は当然ながら可燃物ですので、法規制を受けるため、防火性能を求められる地域では利用に制限がかかります。

例えば「炎症の恐れのある部分」を防火構造などとする必要があれば、一般的な木材では使用ができません。このような制限がある場合は、防火構造の上に木材を貼ることも考えられますが、この方法は行政(建築主事)の判断によりけりです。

※仕様規定の防火構造の上に木材を貼る場合は認められるが、大臣認定品の上に木材を貼る場合は認められないケースがある。

木質系サイディングの中には特殊な加工により防火構造や準耐火構造の大臣認定を取得している製品もあります。ただし、コストがかなり高くなり、20,000円/㎡程度となってしまいます。

また、木材は腐食やシロアリも気にする必要があります。表面保護の塗装にもよりますが、5年以内毎で塗装をやり替える必要はあります。メンテナンス好きでなければやめておいた方が良いでしょう。

木質系サイディングを貼る場合は外壁に求められる防火性能を確認し、細やかなメンテナンスが必要であることを理解してから採用してください。

木質系サイディング
✧耐久性(強度)⇒あまり無い
✧耐用年数⇒塗装や加工によるが10年~20年程度
✧メンテナンス⇒頻繁に必要
✧価格帯⇒5,000~10,000円/㎡程度(防火性能のあるものはさらに高価)

サイディングの防火性能

サイディングの防火性能はその種類によって差はありますが、多くのサイディングは防火構造の大臣認定は取れていますので、準防火地域で3階建てという防火基準の厳しい条件であっても使用することができます。

ただし、サイディング単体で防火性能を有するのではなく、通常はサイディング材+グラスウール(又はロックウール)+内装の石膏ボードといったセットの仕様ではじめて防火性能を有するものとなっています。

※防火性能について詳しくはこちらをご覧ください↓↓↓

ALCパネル

工場で作られる軽量気泡のコンクリート製品です。パネルの内部に気泡を有するため、コンクリートに比べると重さは約1/4程度です。一般的には鉄骨造のビル建築に使用されています。

耐火性があり断熱性にも優れる外壁材ですが、サイディングと比べると高価であることや、住宅用の薄型でも35mmから(通常は75mm以上)となり重さがあることから、戸建て住宅に使用することは稀です。

ALCパネルの例(http://www.clion.co.jp クリオン㈱より引用)

ALCは防水性が乏しいく表面強度が弱い材料であるため、通常は塗装(吹き付け)で表面を保護することになり、塗装材のスペックにより防水性は異なることになります。シリコン系などの防水性能を有する塗装を施すことが多いです。

ALCパネル
✧耐久性(強度)⇒表面強度は弱いが塗装(吹き付け)により保護されているため問題は少ない
✧耐用年数⇒50年以上
✧メンテナンス⇒15年程度で塗装(吹き付け)のやり替えをする必要がある
✧価格帯⇒8,000円/㎡以上

タイル張り

タイル張りの例(湿式工法)※目地あり

タイルは重厚感や高級感があり、その落ち着きのある質感で昔から人気がある外壁材料で、高級住宅の代名詞でもあります。昔は鉄筋コンクリートの外壁に貼られることが多かったのですが、近年では木造や鉄骨造にも使用しています。
タイル張りの例

タイルは高温で焼き上げる陶器ですので、耐久性は非常に優れ、その色合いが長持ちすることがメリットです。通常は50年以上はもちメンテもほとんど不要ですが、汚れが染み込みますので、汚くなってきたら高圧洗浄や薬品で洗浄する必要が出てきます。

木造では、タイル張り専用のサイディング材や、セメント系強化ボードに直接タイルを貼ります。貼り付ける方法には金物で引っ掛ける工法や接着剤で貼り付ける乾式工法と、昔ながらのモルタルで貼り付ける湿式工法に別れますが、湿式工法は経年によりタイルの剥離があるため近年では乾式工法を用いるようになってきています。

乾式工法は湿式工法に比べて工期が短く、モルタルを使用しないことからもメンテナンスもあまり必要ありませんが、工事費は湿式工法よりも高くなります。

タイル張りの例(石調)
石調のタイル貼りの例※目地なし

タイルの魅力はやはり風格です。タイルの質や厚さ、大きさにより高級感は違います。そのため、コストを落とすため小さくて薄いタイルを使用し、のっぺりした平坦なファサード(表情)となってしまうならタイルを使う意味があまり無く、上質なサイディングの方がまだ良いということにもなります。

タイル張りは高価な部類に入りますので新築工事の際の費用は割高となりますが、耐用年数はサイディングと比べてもかなり長くもちます。イニシャルコストは高くつきますが、ランニングコストを考えると採用も検討できます。

タイル張り
✧耐久性(強度)⇒耐久性はあるがクラックや欠けは生じる
✧耐用年数⇒50年以上(上質のものは100年でも)
✧メンテナンス⇒部分的な張替えができるが、全く同じタイルが無くなるため、工事の際は張り替え用のタイルを余分に確保しておいた方が良い
✧価格帯⇒10,000円/㎡以上

塗り壁

外壁で使用する塗り壁の代表的なものとして漆喰(しっくい)をご紹介します。漆喰は水酸化カルシウムや炭酸カルシウムが主成分で作られる塗り壁です。瓦や石材の接着剤代わりとして、また、壁の仕上げ塗りなどで使用されてきました。

漆喰壁の例

昔から家だけでなく、社寺仏閣やお城にも使用されてきました。主成分の水酸化カルシウムは二酸化炭素を吸収しながら徐々に硬化する特徴を持っているため、長い期間をかけて硬化していきます。

漆喰の良さはその美しい白さと塗り壁の特徴である手塗りの味わいです。

漆喰は不燃材料ですので外部への使用はもちろん、内装にも使用されます。カビが発生しにくい材料ですので、ウイルスの発生を抑制したり、揮発性有機化合物(VOC)であるホルムアルデヒドの吸収や分解能力もあるとされ、自然素材として今また注目されている材料です。

デメリットとしては施工に手間がかかり、乾くのに何日も必要であることです。また、メンテナンスもフリーではなく、表面の汚れを洗ったり、また、年月が経つとクラックといったひび割れが発生することもあるため、補修の必要も生じます。

漆喰壁
✧耐久性(強度)⇒あり
✧耐用年数⇒50年以上(メンテ次第で100年)
✧メンテナンス⇒ひび割れ補修などが必要
✧価格帯⇒6,000~10,000円/㎡程度(施工者によりバラツキあり)

押出成形セメント板(ECP)

押出成形セメント板は、主にセメントやけい酸質、繊維質を原料として、材料の厚み部分が中空(ブロックのように空洞がある)になった押出して成形されたパネルです。広義ではこちらもサイディングに入ります。

押出成形セメント板(ラムダ)の例(http://www.konoshima.co.jp/lambda/神島化学工業㈱より引用)

耐火性や耐久性に優れ、強度もあり仕上がりが綺麗ですが、高価であるため、住宅には採用されにくい材料です。

一般的には60mm以上のものが多く、主にビル建築(鉄骨造向け)に使用されますが、15~20mmのものは木造住宅にも使用されています。

押出成形セメント板
✧耐久性(強度)⇒厚みがあるものは非常に良い
✧耐用年数⇒40年以上
✧メンテナンス⇒基本的に不要
✧価格帯⇒7,000円/㎡(厚さ15mm)~16,000円/㎡(60mm)

まとめ

外壁材にも色々と種類があり、メリットやデメリット、価格帯も様々です。まずは見た目で気に入ったものを取り上げて、その特性をきちんと理解してから採用するようにしてください。

材料によってはコストが高くなるものもありますが、メンテナンスや耐用年数も考慮して選ぶようにしてください。