【間取りプラン例あり】2世帯住宅を建てるならここに注意!

はじめに

こんにちは。

一級建築士のtakumiです。

今回は、二世帯住宅にスポットを当てて解説したいと思います。

間取りのコンサルティングをしておりますと、一定の割合で二世帯住宅のお客様が必ずおられます。

私の「間取り診断」のお客様の中では、15~20件に1件は二世帯住宅を計画されています。

 

でも、実際にはそんなに二世帯住宅の割合は多くないのですが、間取り診断をご利用される割合では二世帯住宅とされる方の割合が高いと言えます。

実は、二世帯住宅のプランニングはとても難しく、上手くまとまらないために、間取り診断として相談をいただく割合が多いのだと感じています。

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今回はそのような二世帯住宅について、要点をまとめ、最後に間取り例も載せていますので、じっくりとお読みください。

二世帯住宅の種類

二世帯住宅の種類は、水周りの設備(キッチン、浴室、洗面、トイレ)やリビング、ダイニングといったスペースの共有具合により、以下の3種類の型に別れます。

完全同居型二世帯住宅

サザエさん家の住み方ですね!

完成同居型は、玄関はひとつで、水周りの設備も親世帯と共同で使い、リビングやダイニングも一緒という形です。

要するに、一般的な一軒家で各寝室を用意するといった住宅になりますので、常に親世帯と顔を合わせますし、食事も一緒に作って一緒に食べる、お風呂も順番に入るといった生活となります。

そのため、親世帯とよっぽど仲が良くないと、お互いにストレスがたまり、なかなかうまくやっていけません(ことが多い)。

料理は誰が作るのか、共有部分の掃除はどちらの世帯がするのか、電気代やガス代などの費用負担など、分担を決めるだけでも揉めそうです。

既に同居していてうまく生活できている場合はもちろん良いのですが、それ以外にこの完全同居型を採用する場合は、本当によく考えないといけません。

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完全同居型というのは、最近では新たに建てる形では、ほとんど見ない形ではありますね。

一部共有型二世帯住宅

一部共有型は、玄関、水周りの設備、リビング、ダイニングなどのスペースを一部共有する型です。

完全分離型にするにはコストがかかるため、どこか一部を共有して使うことによりコストが抑えられる形態です。

よくあるパターンとしては、浴室や洗面所を共有にする形です。

普段の生活はお互いに干渉しないようにほとんどの部屋の機能は分離をしながら、比較的使用頻度の少ない浴室などの設備を共有します。

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部分的に共有することのメリットとしては、コスト削減以外にも、親世帯と自然に交流ができるメリットはありますね。

部分共有型二世帯住宅

完全分離型二世帯住宅

完全分離型は、文字通りすべての機能を分離します。マンションや長屋のようなものです。

別々の玄関から入ると、「行き来ができるドア」があるかないか位の違いはありますが、生活自体は完全に分離され、電気やガスのメーターも、それぞれ別になります。

二世帯住宅の中ではお互いの干渉が少なく、最もストレスが少ない形と言えます。

デメリットとしては、3種類の中ではイニシャルコストもランニングコストも、どちらのコストも大きくなることですね。

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また、完全分離といっても壁や床で1枚で仕切られているだけですから、お互いの生活音は聞こえますので、遮音壁の採用や壁の手前に物入れなどの収納を介するなど、生活音に配慮することも大切です。

二世帯住宅の型はどうするべき?

二世帯住宅の場合は、既に完全同居型で生活されていて、特に問題がない場合を除いて、完全分離型もしくは共有するならば浴室程度とする一部共有型とするのが良いでしょう。

当然ながら、共有するスペース、設備が多いほど、工事費は削減でき、床面積は効率的に使えることになります。

そのため、敷地の広さによる面積的な制約や、予算の問題もあり、どうしても完全分離型とすることができないこともあるとは思います。

ただ、「プライバシー」を考慮すると、面積的な問題と予算的な問題がクリアできるのであれば、二世帯住宅とする場合は、やはり「完全分離型」とするべきだと思います。

親世帯と子世帯、普段は仲良くても生活リズムも違えば、考え方も異なります。

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あなたの親であっても、配偶者の親であっても、生活スタイルも考え方も異なりますから、常に顔を合わせる生活は避けた方が無難ですね。

二世帯住宅の主なメリットとは?

親世帯、子世帯共にお互いに頼れる、安心感

二世帯住宅のメリットは、なんといってもお互いにすぐ近くに暮らす「安心感」です。

・お子様が小さいうちは、親世帯にお子様を見てもらいやすいこと。(幼稚園や保育所のお迎えなども)

・留守が多いときでも親世帯が住んでいるから防犯面でも安心できる。

・親世帯としても老後に子世帯が近くにいて安心できる。

2軒建てるよりも経済的

二世帯住宅の種類にもよりますが、現在の住まいが古かったり、賃貸であるなどの場合、別々に2軒建てるより一体の構造とした方が建築コストはかなり節約できます。

当然ながら、建築コストは

完全同居型<一部共有型<完全分離型<二軒

となりますね。

二世帯住宅のデメリットは?

南に面する部屋が多く取りにくい

二世帯住宅は、どうしても部屋数が多くなりますので、日中日当たりの良い南に面する部屋を多くとることが難しくなります。

親世帯が1階、子世帯が主に2階といった間取りであれば、一般的にはリビングを南に面すると、各寝室や子供部屋は南に面することができない可能性が高くなります。

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そのため、敷地の広さによっては、日当たりの良い部屋を多く確保するために、3階建ても視野に入れる必要がありますね。

生活スタイルの違いによるストレス

完全分離型二世帯住宅であっても、壁や床の向こうでの生活音は聞こえてしまいます。

特に、就寝時間や起床時間の違いはお互いに気にしておきたいところです。もの音はどうしても気になってしまうものです。

完全分離型二世帯住宅の注意点

遮音性を高める必要性

壁や床は遮音性を少しでも高めて、お互いストレスを少なくして生活ができるように準備したいですね。

完全な遮音仕様となると高額になりますが、例えば壁であれば、

 石膏(せっこう)ボードを2重張り

 にして壁の中にグラスウール(吸音材となるもの)を充填

 遮音シートを壁の中に貼る

といった比較的簡単な遮音壁でもある程度効果がありますので、設計士に相談するようにしましょう。

子世帯(上階)の水回りの位置に注意

完全分離型二世帯住宅の場合、水回りも2倍になってしまいます。

そのため、子世帯のキッチンや浴室が2階や3階に来ることも多いものです。

その際の注意点として、設備配管があちこちに散らばってしまうと設備効率が悪く工事費も高くなりがちです。

水回りは、できるだけ親世帯と近くなる位置にしておきたいところです。

また、2階以上に浴室を配置する場合、浴室の下の階に排水設備(排水管)の関係で天井が少し下がることが多いので、できれば浴室の位置は上下で揃えたり、天井が下がっても支障のない部屋にしておきたいですね。

親世帯は特にバリアフリー対応に

親世帯の老後の体力の衰えを考えると、親世帯の生活は、1階だけで完結するようにしたいものです。

今はまだまだ健康で元気でおられても、身体面でどうしても不自由な面が出てくるものです。

そのため、以下のようなバリアフリー項目については考慮しておきたいところです。

・床は完全なフラット
歳をとると少しの段差もつまずきやすくなりますから、段差無しは不可欠です。

・玄関の段差や浴室やトイレの手すり
段差を無くしても、玄関の段差だけは必ず発生します。また、トイレの立ち座りや浴槽をまたぐ際には足腰に負担がかかります。そのため、手すりは必須となってきます。

・トイレや浴室の幅
生活がある程度自立されていても、少し介助が必要な動作もあります。また、トイレとお風呂は、転倒して待った際に救助する必要性からも、可能であれば少しでも広くしておく方が良いですね。

・戸の形状
ドアの形状には、大きく分けて「開き戸」と「引き戸」がありますが、バリアフリー的には開け閉めする時の動作が楽なことから、「引き戸」が使いやすいものです。

※バリアフリーについては詳しくまとめておりますのでこちらもご覧ください↓↓↓

二世帯住宅のプラン例をご紹介

それでは、実際に間取り例を見ていきましょう。

基本的には親世帯は1階、玄関も別々ですが、玄関ホールにドアがあり、お互いに行き来ができるようにプランニングされています。

【完全分離型二世帯住宅プラン例①】1階を親世帯、2階~3階を子世帯で使う

こちらのプランは、親世帯が1階、子世帯が2階と3階で生活をするプラン例です。

敷地面積が比較的狭い場合、このように3階建てとすることにより、すっきりした間取りで、かつ、主要な居室を南に面するように配置することもできます。

 

2世帯住宅間取りプラン例(3階建て)
2世帯住宅間取りプラン例(3階建て)

この間取りでは、子世帯でバルコニーを多く設置しているのが特徴的です。

2階のバルコニー(インナーバルコニー)は洗濯物を干すスペース、キッチン横のバルコニーは生ごみを仮置きできるスペースとして、3階のバルコニーは主に布団を干すスペースとしています。

また、ランドリースペース~バルコニーの間に、ファミリークローゼットを配置しているので、家事動線がとてもスムーズです。

水回りも1階から3階まで位置がそろっているため、効率的な設備計画となっていますね。

【完全分離型二世帯住宅プラン②】広い敷地を使い、親世帯が1階、子世帯が1階と2階で生活する

こちらのプランは、親世帯が1階、子世帯は1階リビング、2階で就寝するという間取り例です。

簡単に言えば、一般的な2階建ての間取りに親世帯の1階をプラスするイメージです。

そのため、1階がどうしても広くなり、広めの敷地がないと難しい大きさになってしまいます。

また、1階部分では部屋が多くなってしまい子世帯のリビングを南に面するよう配置ができないため、吹き抜けを設けることによって効率よく日当たりを確保しています。

なお、坪庭に関してはこちらのような大きさではさほど日当たりは期待できませんが、風を通すには良い手法です。

 

2世帯住宅間取り例(2階建て)①
2世帯住宅間取り例(2階建て)①

このような間取りのメリットは、両世帯の接する壁が少なく、子世帯の2階は親世帯にかかっていないことです。

極力、お互いに生活音が気にならないように配慮されたプランですね。

音が届きにくくなるという意味では、坪庭も緩衝帯として一役買っています。

【完全分離型二世帯住宅プラン③】親世帯が1階、子世帯は主に2階で生活をする

こちらは親世帯が1階、子世帯は2階で主に生活する間取りプランです。

一般的には、親世帯よりも子世帯のほうが占有面積が大きくなるため、単純に総二階のような形にするのは難しくなります。

敷地面積に余裕が無いこともあり、インナーガレージとすることで1階の面積が増え、子世帯の住居を2階に乗せた形となっています。

2世帯住宅間取り例(2階建て)②
2世帯住宅間取り例(2階建て)②

この間取りの特徴は、子世帯(2階)で階段を中心として回遊動線があることです。

回遊すると面積効率は良くはありませんが、家事動線としてはとてもスムーズになり、各部屋から洗面やトイレも使いやすくなっています。

まとめ

二世帯住宅は相異なる二世帯の生活スタイルを1軒にまとめるものですので、難易度が高いプランニングとなります。

必要な部屋を配置するために3階建てとするか、または広い敷地が必要になることもあります。

なかなか妥協できない部分も多く、ある程度の建築コストの増加もやむを得ないところですが、「無駄に広いプラン」が多いことも事実なのです。

takumitakumi

二世帯住宅のプランで「上手くまとまらない」、「建築コストをもう少し抑えたい」という際には、お気軽にお問い合わせください。

noteでも家づくりの記事やコラムを雑筆しています⇒takumiのnote

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