こんにちは。
一級建築士のtakumiです。
今回は「機械換気」のお話です!
快適で健康的な家づくりのために、日当たり(採光)と並んで、換気・風通しはとても大切です。
エアコンや空調設備の効率を高めるために断熱性、気密性を高めることはとても大事ですが、部屋の空気を入れ替えてあげないと、有害物質の濃度が高くなってしまいます。
空気中には様々な物質が混じっており、放っておくと、有害な物質の割合も増えてしまいます。
・ダニやホコリなどのアレルギー物質(ハウスダスト)
・建築材料のアレルギー物質(接着剤や塗料など化学物質によるシックハウス症候群)
・不快な臭いや湿気、カビ
・二酸化炭素
・ガス等燃焼する機器がある場合は一酸化炭素(危険性が大きい)
これらのような空気中の有害物質や不快な物質濃度を取り除くために、窓を開けて換気し、常に新鮮な空気に入れ替える必要があります。
建築基準法では、居室には自然換気(窓開け換気)ができる窓の大きさとして、部屋の面積の1/20以上の面積の窓を設置する必要があるとされています。
ですので、8帖の部屋ですと13.2㎡の広さですから、
13.2×1/20=0.66㎡以上の面積を解放できる必要があるということです。
1.7m×0.9mの引き違いの腰窓なら、引き違いなので半分開きますから、
1.7×0.9÷2=0.765なので、ひとつあればOKです。
ただし、「花粉症」で窓が開けられない方や、天候や季節によって窓を開けられない時もあります。
また、元々あまり窓を開けて換気をしない方もおられます。
そのため、機械換気(換気扇)での換気というのも、家づくりでは大切な機能のひとつとなっています。
今回は、機械換気の役割や種類、効果的な機能について解説したいと思います。
機械換気の換気種別とは?
機械換気設備には、いくつか方式があります。
まずは、機械換気の方式について、第一種~第三種換気の形を覚えておきましょう。
第一種換気
第一種換気というのは、吸気も排気も機械で行う方式のことです。
吸気と排気を同時に運転するため、部屋に圧力の差が生じにくく、安定した換気が見込めるということです。
しかし、初期費用(工事費)が高めになりますし、電気代も少し高くなるデメリットはあります。
第一種換気には、ロスナイ(全熱交換型換気扇)を設けることが多くなっています。
ロスナイ(全熱交換型換気扇)というのは、部屋の空気を排出する時に熱を回収してから出し、採り入れる外気に戻して部屋へ送る、というシステムです。
冷房の時期は、排気から冷気を回収して新しく吸気する空気に戻してから部屋へ出します。
反対に暖房の時期は、排気から暖気を回収して新しく吸気する空気に熱を戻してから部屋へ出す、という具合です。
外の空気を直接部屋へ入れてしまうとエアコンや空調で適温になった室温が外気の流入により変化してしまうために、せっかく適温にした空気を無駄にしない、ということですね。
第二種換気
第二種換気というは、住宅ではほとんど使われませんが、吸気を機械で行い、排気を圧力差により自然に排気口から出すという手法です。
絶えず機械で吸気をするため、部屋の中が正圧になり圧力が高まるため、部屋のその空気が入りません。
そのため、清潔にしたいクリーンルームなどに使用される形式です。
第三種換気
第三種換気は、部屋の空気を排出するのに機械換気で行い、新しい空気を外部から入れるのに吸気口にて自然に吸気する形式を言います。
第二種換気と反対で、機械部分は排気のみになります。
メリットは、機械が排気のみとシンプルになるので、第一種換気と比べて、安くすみます。
しかし、外気を直接採り入れるので、せっかく適温にした空気は外気に影響され、冷暖房の効率は悪くなってしまうデメリットがあります。
局所換気と24時間換気
まず、局所換気というのは、スペースを限定して換気することです。
お風呂やキッチン、トイレの換気扇がそうですね。
臭気や湿気、煙などの不快な空気、不健康な空気を強制的に屋外へ排出するための換気扇です。
この局所換気に対して、24時間換気というのは一日中常にスイッチをつけたままにして、回りっぱなしの換気扇のことです。
建築基準法では、シックハウス症候群の防止のため、居室は0.5回/時間の機能の換気が義務付けられています。
居室というのは、リビングや各洋室、和室のことで、トイレや洗面、浴室などは居室ではありません。
1時間で0.5回なので、2時間で部屋の空気が全て入れ替わることになります。
微力な能力のため、電気代は数台の換気扇を入れっぱなしにしても100~150円/月程度(能力や台数にもよりますが)となります。
ただし微力ですから、有害物質の除去にはある程度効果はありますが、あまりスッキリとした換気ではなく、部屋の臭いや湿気もこもりがちになります。
一般的には、下記の二通りが多く、コスト面や機能性を考えながら選択することになります。
・第三種換気にて、トイレや洗面、浴室といった水回りの換気扇を24時間換気(排気)として、居室に吸気口を設けて外部の空気を採り入れる手法。
・第一種換気(ロスナイ)にて、各部屋(居室)で吸気排気を行い、熱交換も行う。
機械換気の注意点
ウォークインクローゼット、納戸の換気
見落とされがちなのが、大きめの収納スペースの換気です。
玄関のシューズクローク、ウォークインクローゼット、納戸、パントリーといったスペースですね。
臭いや湿気が溜まりがちになるスペースですので、2帖以上となってくると、換気も考える必要があります。
もちろん、換気できる窓があるとOKですが、窓がない場合は、機械換気を考える必要があります。
このようなスペースには局所換気を計画しておきます。
他にも窓が付けられないため風が通りにくそうな場所があると、個別に換気扇を設けることを考えておきましょう。
換気経路で、湿気や臭いを引っ張らないか
第三種換気にありがちなことですが、換気経路の「吸気口」になるスペースに臭いや湿気があると、その空気が居室へ流れるのでタブーです。
例えば、洗面所や玄関といった臭いや湿気があるところから外気を入れると、その空気が居室へ入ってしまいます。
外気から採り入れた空気がどこを通って、どこから出るかをきちんと確認しておきましょう。 24時間換気は、どこかの窓を開けていると空気の入れ替えがスムーズにできないことがあります。 例えば、トイレで機械排気している場合、トイレの窓を開けているとトイレ内だけで換気が完結してしまい、居室の空気が流れ込まず、入れ替えができないことになります。 閉めっぱなしにしなくても良いのですが、24時間換気を有効に回す際は、排気する場所や経路になるスペースの窓を閉めておく必要があります。 住宅の機械換気の方式では、 ・吸気も排気も機械で行う「第一種換気」 ・吸気は吸気口(自然吸気)で、排気を機械で行う「第三種換気」 がありましたね。 機能的には、熱交換(ロスナイ)がある第一種換気が熱効率がよく、省エネで機能性の面では優れています。 ただし、窓開け換気をよく行うご家庭の場合は、せっかくロスナイで熱交換しながら効率よく換気をしているのに、窓を開けて外気を直接採り入れると、部屋温度は大きく変動します。 そのため、頻繁に窓開け換気を行う場合には、第三種換気でも機能的には変わらない場合もありますから、無駄にロスナイ付きの第一種換気にこだわる必要はありませんね。 窓開け換気の頻度によっても、第一種換気・ロスナイの必要性が変わってきますので、しっかり検討しておきましょう。 ※換気に関する記事はこちらもどうぞ↓↓↓機械排気の箇所の窓を開けっ放しになっている
換気方式の選定~まとめ
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