建築においては第三者のチェックが重要
こんにちは。
一級建築士のtakumiです。
家づくりに限らず、建築全般に言えることですが、建築の計画・設計や工事においては第三者のチェック機能は大切です。
「手抜き工事」
「施工ミス」
「瑕疵(かし)」
といったような、工事における不良箇所が見過ごされたまま、施主に渡ってしまうケースが、とても多くあります。
不適切な設計や工事のため、次から次へと建築関連の不祥事が、ニュースで報道されています。
しかし、報道されているのは物事の一部分に過ぎません。
意図的な手抜き工事は言うまでもなく、現場監督や職人さんのイージーミスも有り得ます。
このような問題を解決するためには、第三者の目でチェックする方法が最も有効です。
さらに、これらは設計でもいえます。
設計も人がやること。
家づくりではミスもあります。しかし、設計においてのチェック機能は、実を言うとあまりないのが実情です。
法的なチェックを図る確認申請も、ほとんどが建築士の「特例」制度により、審査が免除されてしまうのが現状なのです。
ハウスメーカーや中規模の設計事務所など、設計士が組織である場合は、管理建築士(責任者)が最終チェックをする義務がありますが、少々形骸的なものになっています。
要は、設計や営業の担当者だけの目線になっている可能性が高いのです。
極端な例では、2005年に起きたA設計士による「構造計算偽装事件」も、チェック体制ができていなかったため発生したのです。
設計のチェック~セカンドオピニオン
設計には、セカンドオピニオンが有効です。
設計の途中や最後に、他の建築士による設計のチェック(セカンドオピニオン制度)を入れることによって、ミスやデメリット、他にも意外な別案も発見できたりします。
プロの目で見れば、おかしなところや違った意見はいくつも出てくるものです。
どんなに場数を踏んできたベテラン設計士でも、ミスはあります。
ですが、複数の目でチェックし、良いものにしていかなければなりません。
また、ミスではありませんが、仕様や詳細が決まってないというのもよくあることです。
設計士の中には、「細かいことは工事の範囲」という人もいますが、工事を進める施工者が設計士に聞かないとわからない設計図面は良くないです。
工事監理を知っていますか?
工事監理は適正な工事に導く役割です。
工事では「工事監理者」という役割の者が、施工者(現場監督)の工事が設計通りに行われているかをチェックします。
現場監督とはまた違う人物です。
工事監理者は建築士がしますが、設計士がする場合が多いですね。
法的には工事監理者というのは、
「工事を設計図書と比較して、設計通りに行われているかを確認する」
ことですが、他の役割として、設計で決まっていない仕様や詳細の検討や工程もチェックしたりと、施工者(工事業者)の指導をする役割もあります。
そのため、施工者(現場監督)が工事監理をすることは、チェック機能が働かないため、良くないのです。
工務店の設計・工事一括の場合は、工事監理をないがしろにしている事がとても多いです。
また、設計士がそのまま工事監理をするパターンでも、「現場に詳しくない」「忙しくて現場に来ない」「施工者まかせ」といった場合もあります。
また、設計士が工事監理をするのにもデメリットがあり、設計のミスが発覚しにくいこともあげられます。
「別の目」でチェックをすることで今まで気づかなかったミスやデメリットも見えてくることがあります。
工事監理も「第三者」で行われる方が、理にかなっているんですね。
第三者の工事監理者を入れることによって、設計や工事のミスが無くなれば、施主さんだけでなく業者側も助かることになるのです。
※工事監理についてはこちらで詳しく解説しております⇒工事監理の重要性~注文住宅の手抜き工事や瑕疵といった不安を無くす役割~
土地選びや業者選びでもセカンドオピニオンが役に立つ!
第三者の目で設計や工事をチェックすることは非常に重要ですが、住宅の計画段階の時にも重要なものです。
土地を探す際にも土地の安全性、使い勝手について意見を聞いたり、地盤調査に関しても第三者の建築士の見解は聞いておくべきものです。
業者選びも色んな選択肢があります。大きく分類しても
「大手ハウスメーカー」
「ローコストメーカー」
「ビルダー」
「設計事務所+工務店」
「工務店の設計施工一括」
があります。
家づくりにそれぞれ違いがありますから、どんな所を選ぶべきなのかも悩ましいものです。
中立の立場の建築士に、セカンドオピニオンで意見を聞けたら冷静に検討ができます。
家づくりでは、第三者の建築士の意見も聞きながら、一つ一つしっかりと進めていきましょう。
※地質調査についてはこちらで詳しく解説しております⇒住宅を設計する際は土地の地質調査が必要?~地盤改良や杭について~
※家づくりの記事やコラムはnoteでも書いておりますのでまたご覧ください⇒takumiのnote
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