こんにちは。
一級建築士のtakumiです。
住宅の土地を探すときには、色々と不安や心配があるものです。
土地の価格、立地条件、職場や学校からの距離など、土地を選ぶ際には検討することが色々あって悩ましいものです。
この記事では、私が最も重要と考える条件である土地の安全性について、過去の自然災害から学んで考えておくべきポイントを紹介したいと思います。
土地のデメリットやリスクを把握し、自然災害が起きた時に、被害を最小限に抑えられるよう、何ができるか、備えることはあるのかを考えておきたいものです。
土地を探す際の目安、または今住んでいる土地のリスクの確認として、お読み頂ければ幸いです。
[過去にはどんな自然災害があり、どれほどの被害があった?]
阪神・淡路大震災
平成7年1月の阪神・淡路大震災では、直下型の大地震が都市を襲いました。
最大震度 は7で、死者・行方不明者は6,437人にものぼりました。
この地震では高速道路や市役所などのビルの倒壊をはじめ、多くの建物が倒壊してしまいました。
また、地震による大規模な火災が起こり、建物が古く密集していることや道路が狭いことや倒壊した建物が道路を塞いだことにより、消防・救助活動がままならなかったことから、犠牲者の数も増加してしまった災害でした。
この地震により、「活断層」という言葉がよく使われるようになり、建物を建てる際には活断層の近くを避けるようになってきました。
東日本大震災
平成23年3月の三陸沖を震源として発生した東日本大震災は、地震を原因とする大津波が発生し、ほとんどの低層の建物は津波にのみ込まれ流されるという、信じられない光景を目の当たりにしました。
この地震は、マグニチュード9.0という巨大な地震で、死者と行方不明者の合計は2万5,949人、津波により冠水した面積は宮城県、福島県など6県で561k㎡と、未曾有の大災害となってしまいました。
この大地震の教訓から、大地震で発生する大津波から命を守るための「津波避難施設」の整備が進められてきました。
広島市集中豪雨
平成26年2014年8月の広島県広島市北部への集中豪雨によって引き起こされた豪雨災害です。
数百年に1回という、3時間で200mmを超える大雨で、土砂災害166ヶ所、うち土石流107ヶ所・がけ崩れ59ヶ所、発生し、130棟以上が全壊し、半壊や一部損壊も300棟近くにのぼり、死者も70名を超えました。
豪雨による土砂災害は毎年多く多く発生しており、平成30年には過去最高の件数となっています。
西日本集中豪雨
平成30年6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心とした集中豪雨では、広島県、岡山県、愛媛県の3県を中心に河川の氾濫などにより、大規模な冠水をもたらし、建物の浸水等の被害が3万棟を超える災害となりました。
多くの地震でみられる共通した宅地の被害とは?
大きな地震による被害として多く発生する事象に、「地盤沈下」や「地盤の液状化」の被害があります。
これらの地盤の被害があると、地震により建物に被害が無くても、建物を支えるべき地盤が沈下してしまうことによって地盤の耐力が無くなり、建物まで使えなくなることがあります。
[その土地にどんなリスクがあるかを調べておく]
古い密集市街地のリスク
昔からの密集した市街地は古い木造が多く、火災が起きると延焼しやすいリスクがあります。
また、密集市街地は道路も狭いことが多く、消防による消化活動の妨げとなってしまうため、さらに火災が広がってしまう可能性を秘めています。
※現行の建築基準法では、原則、道路が4メートル以上ないと建物を建てられませんが、昔の市街地では4メートル未満の道路も多くみられます。
こういった密集市街地は建物の準防火地域などの指定がされていることも多いと思いますが、建物の防火性能を少しでも向上させておき、隣接地からの延焼に備えることも必要になってきます。
※防火性能についてはこちらの記事で詳しい解説があります↓↓↓
住宅に必要な防火性能はどうなっている?~火災を最小限に食い止める、防火・避難対策~
平成30年6月に発生した大阪府北部の地震では、ブロック塀の倒壊により犠牲者が出てしまいました。
特に、お子様の通学路など、普段通る道路に倒壊の恐れのある構造物がないかも確認しておきたいものです。
太平洋沿岸部のリスク
太平洋側の沿岸地域は、地震により大津波が発生した場合を想定しなければなりません。
津波が発生すると、人間の力では食い止めることは不可能です。
東日本大震災の教訓から、各自治体では津波が発生した場合に備えて「津波避難施設」を整備しています。
特に、東海・東南海・南海トラフ地震の想定範囲に入っている地域の沿岸部の土地では、津波避難タワーなどの津波の際に逃げ込むことの出来る建物や構造物が、どこに指定されているのかを確認しておかなければなりません。
河川の近くや平野部のリスク
近年は気候の変化により亜熱帯地域のような集中豪雨が発生しています。
特に、梅雨前線が活発になる時期や、発達した低気圧が発生する時期といった夏季の前後は注意が必要です。
集中豪雨となると、普段の雨なら問題なかった水路や河川の排水能力が追いつかなくなり、各所で雨水が溢れ、冠水してしまいます。
また、河川が決壊したり氾濫することにより大量の水が平地に流れ込み、建物の浸水の被害が生じてしまいます。
大雨による地域の冠水予測については、市町村などの各自治体がホームページなどでハザードマップを公開していますので、海抜の低い平地や河川の近くの地域では、冠水予測の情報を確認しておいてください。
※全国のハザードマップを検索できるポータルサイトです⇒ハザードマップポータルサイト
山地や崖付近の土砂崩れのリスク
土砂災害防止法による土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)をはじめ、急傾斜地崩壊危険箇所、土石流危険渓流などの指定状況を確認しておいてください。
指定されているからと言って、必ずしも大雨で土砂崩れが起こるものではありませんが、土地の地形から大地震や大雨により災害が発生するリスクが高い地域と言えます。
これらの指定の状況は、各市町村や都道府県のホームページや窓口で確認できます。
また、山地の近くは崖崩れ以外に「水」にも注意が必要なんです。
山地の近くは山からの雨水の流れが地下を通っていることがあります。
地質調査をすると、地下水位が高い場合がありますが、そのような場所は地下に水道(みずみち)があり、地震時の液状化の恐れや地耐力が低い場合がありますので注意が必要です、
活断層の近く
活断層は今後ズレが生じる恐れのある地層ですので、活断層の近くは大きな地震が起こる可能性があります。
活断層は日本全国にあり、2千以上もの「活断層」が見つかっていますが、地表に現れていない活断層も多いと言われています。
活断層は連鎖によりズレるかどうかは分かっていないところもあり、活断層の近くだから地震が来ると怖いというものでもありません。
しかし、活断層があると分かっている場所は可能であれば、避けた方が無難です。
活断層はネットでも検索できますので、確認しておいてください。
盛土された土地のリスク
埋立地や開発による盛土によってできた土地は、地盤の耐力が低い場合がほとんどです。
また、地名に「池」や「沼」などが付く地名も埋め立てられている可能性があると言われ、軟弱な地盤である場合があります。
※池や沼は、昔から自然に水が溜まる場所ですので、埋め立てたとしてもまた水が出てくる場合が多いのです。
土を盛った土地は地震により、地盤沈下や液状化を起こす可能性がありますので、できれば大規模な盛土の土地は避けた方が無難です。
盛土や埋立地の場所の確認は、近年のものであれば確認できる可能性は高いです。
各自治体では、「大規模盛土造成地マップ」といった危険性のある大きな盛土、埋立地をマッピングしています。
また、開発などの法規制にかかる工事であれば、役所等で「造成計画平面図や断面図」が残っていれば分かります。
また、昔の地図や航空写真がネットでも閲覧が可能ですので、現在と見比べてみるとわかる場合があります。
※地質調査や地盤改良に関する記事はこちらです↓↓↓
住宅を設計する際は土地の地質調査が必要?~地盤改良や杭について~
[自然災害のリスクが無い土地はない?]
このように、過去の災害からリスクを考えていくと、なんの危険もない土地なんて、なかなか無いといえます。
海の近く→津波
河の近く→河川の氾濫
平地→大雨で冠水
山地・傾斜地→土砂崩れ
各土地には、自然災害により発生する様々な危険はありますが、その土地に起こりうるリスクを知っておき、出来る範囲で備えることで、大きな災害から命を守ることができるケースは多くあります。
災害が発生すると、国や自治体の責任が問われますが、全てを行政の責任とするのでは無く、あなたの命や子供たちの命をどうやって守るかを前もって考えておかなければならない時代である、といえるのではないでしょうか。
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