こんにちは。
一級建築士のtakumiです。
注文住宅を検討していく中で、「住みやすい」「使いやすい」といった感覚を大切にするため、重要となるのが各部分の寸法です。
細かいところの寸法は設計士が考えていきますが、任せっぱなしにせずに自分たちの生活スタイルに合った寸法を考えていきましょう。
その寸法の基本となるのが、「モジュール」というものになります。
設計の基本「モジュール」って?
住宅の設計、間取りを考えていく際に基本となるのが、「モジュール」というものです。
あまり聞きなれない言葉ですね。
モジュールとは規格寸法で、幅や長さのひとつの単位です。
間取りや構造がこのモジュールによって決まってきます。
木造住宅ではこのモジュールを3尺である910mm(91cm)としていることが多く、そのため様々な内部の幅や奥行などがこの寸法により決まっていきます。
これを尺モジュールといいます。
この91cm×91cmをひとつのグリッドとすると、4つのグリッドが1坪になりますね。1坪が畳2枚分です。
これに対して、メーターモジュールといって1m×1mをグリッドとする手法もあります。
メーターモジュールを取り入れている工務店やハウスメーカーもありますが、そのメリットとしては、グリッドが尺モジュールよりも広い1mであるため、廊下やトイレ、階段の幅が最初から広く設計できることです。
しかし、メーターモジュールに対応した建材はどうしても割高になります。構造用合板やユニットバスでもメーターモジュールのものもありますが、流通量が少ないため、尺モジュールよりも高くなってしまいます。
また、メーターモジュールで設計すると家全体が広くなってしまいますので、割高になる傾向があります。
設計士や工務店もメーターモジュールに慣れていないところはミスをする可能性もありますので、特にこだわりがない場合は尺モジュールにしておいた方が無難だといえます。
廊下や階段、トイレの幅などが尺モジュールでは狭いという場合は、部分的にスパンを広くする(910mm⇒1365mm)といったように調整もできますから、尺モジュールの方が経済設計がしやすく、調整しやすいといえます。
モジュールから決まる廊下・階段・トイレの幅
間取り図面を見る時に注意して頂きたいのは、壁の芯々寸法と有効寸法があるということです。
壁の芯々寸法は壁の中心から中心の寸法を指しますので、ここから壁の厚さを引いたものが有効寸法となるんですね。
尺モジュールの場合は、廊下や階段、トイレの有効幅は約78cmとなることが多いです。
柱の芯々寸法が91cmですので、壁厚(柱105mmと石膏ボード12.5mm×2)を引けば78cmとなるためですね。
注意したいのは、柱を120mmとしている工務店や大工さんもいますので、その場合は有効幅は76.5cmと少し狭くなります。
なお、メーターモジュールの場合は柱の芯々寸法が100cmですので、壁厚(柱105mmと石膏ボード12.5mm×2)を引けば87cmとなります。
※階段や廊下の幅、各部屋の入口寸法は家具や家電の搬入に注意しましょう。特に階段は幅が足りていても「曲がる部分」や天井高さにより家具や家電(冷蔵庫やタンス、ソファー)が入らないことが多々あります。
尺モジュールでの浴室の大きさ
浴室はユニットバスを選択することが多いですね。
ユニットバスというのは、あらかじめ工場で作られた部材を現場で組み立てるもので、「UB」とも表記されています。
このユニットバスも寸法が規格化されていて、1216、1616、1620など4桁の数字で表します。
これは内径寸法を表していて、
1216の内径は、120cm×160cm
1616の内径は、160cm×160cm
1620の内径は、160cm×200cm
となっています。一般的には1616が多いですね。
1616サイズが1坪(1.82m×1.82m)に合うサイズとなっています。
少しゆったりとしたお風呂が必要なら1620、逆に面積に余裕が無い場合は1216といった感じなります。
サイズは大きい方がコストも高くなっていきます。
予算や床面積の余裕度によって選ぶようにしましょう。
ドア(開き戸)の有効幅
「ドア」の横幅寸法は、シングルのドアでは680mmが通常で、他に830mm、トイレのドアなら630mmと色々あります。
ドアの寸法で気をつけたいのは、開口部の有効寸法はドアの枠の(戸当たり間)内法寸法だということです。
さらに、ドアが180度開かないものはドアの厚みも有効寸法から引かなければいけません。
これは、引越しの時や大きな家具を購入する時に気をつけて頂きたいのですが、「有効寸法」を間違えると、部屋に家具が入らない!ってことになるからですね。
※内部建具(室内ドア)についてはこちらもご覧ください↓↓↓
収納の幅や奥行の適度な寸法は?
人の肩幅は男性でだいたい40cm強くらいです。
例えばクローゼットの奥行としては服の肩幅で決まりますので、冬のアウターを考慮して60cm程度がベストです。
衣服を収納するウォークインクローゼットの場合の横幅の寸法は中に通路が必要ですので、通路の幅は60cm程度となり、通路の両側に収納とすれば60cm+60cm+60cmで1.8mの幅が一番効率が良いということです。
尺モジュールでは1.82mの奥行は、有効寸法が1.69mになるので、
収納 + 通路 + 収納
56cm+56cm+56cmとなります。
ちなみに、布団を収納する場合は折りたたんだ布団を重ねて入れるため、奥行寸法は80cm程度が最適ですので、「押入れ」が適していますね。
※収納については詳しくはこちらをご覧ください↓↓↓
天井の高さってどのくらい?
天井の高さは最低は建築基準法で2.1mと決まっていますが、それ以上であれば特に規定はありません。天井高さが高いと開放性があり大きく感じます。最近では2.3m~3m近くの天井高さのものもあり、好みですね。
しかし、高くすれば良いというものでもなく、天井高さが高いと以下のデメリットがあります。
・構造部材や壁の内装も多くなり工事費がアップする。
・天井が高い分、部屋の体積が増えエアコンが聞きにくかったり24時間換気扇の能力が増える。
・特に和室はじかに床(畳)に座るため、天井が高いと落ち着かない。⇒和室では2.2m程度で良い。
部屋によって天井高を変えることも可能ですので、和室は2.2m、リビングは少し高く2.5mその他の部屋は2.3m等と変えることも可能です。ただし、ハウスメーカーや工務店は天井高さも規格化している所もありますので、ご注意ください。
また、天井高さを高くすると内装材料が増えますし、建物自体の高さを高くする必要も生じてきます。
ですので、天井高さを上げると構造材や仕上げ材も増え、割高になっていまいますので注意が必要です。
一般的には1階の階高(柱の長さ)が2.85~3mでありますので、天井の懐(天井裏の高さ)40cm程を確保すると2.45~2.6位が一般的な天井高さの範囲ですね。
まとめ
住宅の間取りはまずはモジュール(単位)を決めるところから始まり、各寸法はこのモジュールによって使いやすさが違ってくるんですね。
91cmの尺モジュールは日本人の体型や文化に合わせるために昔から使われてきた単位です。
メーターモジュールが適した間取りもあると思いますが、尺モジュールでもグリッドを調整することで部分的に広くすることもできますので、やはり尺モジュールを基本にして間取りを検討していくのが良いのだと思います。
※takumiのnote記事で、「収納の奥行」についても解説しています↓↓↓
そのほかの間取りに関するnote記事はこちらです↓↓↓
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