こんにちは。
一級建築士のtakumiです。
家を建てることが決まれば、次は業者選びと並行して「どんな家を建てるか」を考えて行かなければいけません。
要望を丁寧に聞き取って、うまく設計に取り入れる設計士もいれば、なかなか要望どおりに進まない設計士もおられます。
家づくりは、打ち合わせの度に要望を伝えては、間取り案や設計図面を何度も書き直してもらうという、施主にとってもなかなかたいへんな道のりです。
誰もが疲れてしまう家づくり。
少しでもスムーズになるように、前もって要望をまとめておき、業者に書面で示すことはとても有効なのです。
また、ご家族の意見も様々だと思います。
ご夫婦で意見が食い違っていて、打ち合わせの最中に夫婦で揉めることもよくあることです。
家族間で要望事項にズレがあると、せっかくまとまりかけた間取りも、一からやり直す必要が生じることもあります。
まずは、要望事項をまとめてから行動することをおすすめします。
要望事項を挙げる時の注意点
要望事項を挙げていく際には、「優先順位」を考えておきます。
設計には様々な制約があります。
設計が進むにつれ、全ての要望が取り入れられないことはよくあることです。
計画を進めながらで結構ですので、要望の中でも優先順位を付けて、妥協できる要望を決めておくことも大切です。
制約とは主に次のようなものです。
予算は最も大きな制約ですね。
予算に制限がない方はほとんどおられないのではないでしょうか。
✧建ぺい率や容積率が収まらない(敷地の不足)
敷地の大きさも大きな要因です。
一般的には郊外よりも市街地の方がまとまった敷地面積は確保しづらいものですね。
✧道路斜線や北側斜線に抵触する
斜線制限や高さ制限による建物の高さの制約も影響します。
✧各要望が矛盾する要望となっている
要望する内容が他の要望と相反することもあります。
例えば、「リビングに吹き抜けを設けて大きな窓を付けたい」ことと、「断熱性の高いリビングにしたい」ことは相反する要望となってしまいます。大きな窓は断熱性能が低下する要因ですからね。
基本事項をまとめてみる
まずは基本的な部分です。予算、部屋数、階数といったものですね。
このあたりがざっくりとでも決まっていないとスムーズに設計が進みません。
当然、後から変わってきても良いので大まかに考えておきましょう。
予算はどのくらいか
予算をどのくらいとするかを決める必要があります。予算は自己資金をいくら用意できるか、融資はいくらおりるかによって変わってきますので、複数の金融機関に相談しながら決めていくことになります。
はじめは大体で大丈夫ですので、自己資金をいくら出せるか、購入費用のトータルをどのくらいとするかを考えておきましょう。
世帯の年収や月収、預貯金なども確認しておきましょう。
打ち合わせの際のコツとして、予算は「少し低めに」設定しておくことです。住宅も含めて建築設計というのは予算をオーバーしてしまうことが多いものです。
特に、注文住宅では最終的にそれぞれの工事の項目を積み上げて積算してみないと詳細な工事費はわかりません。そのため、多少オーバーしても調整できるように予算には余裕を見ておきたいところです。
⇒資金計画についてはこちら
部屋数(居室の数)をどうするか
基本事項としてまとめる必要があるものに部屋数もあります。
部屋数は家族の構成や生活スタイルにもよりますので正解はありません。基本は、
となることが多いですが、趣味の部屋や書斎、家事室、フリースペースが必要であったり、親世帯と同居する2世帯の場合もありますね。和室が必要かどうかでも変わってきます。
お子様の部屋も一人一室とするのか、少し広めにして相部屋とするのか、広い空間を作っておき、将来壁を設置して仕切れるようにすることも可能です。
まずは、ざっくりと考えておき、間取り図を書いてもらってから生活をイメージをしていきましょう。
階数をどうするか
住宅の計画では階数も大きく影響します。これは敷地面積にもよりますので
・通常は2階建てから検討
・敷地に余裕がある場合は平屋建てもあり
というふうに階数を考えます。
⇒3階建ての注意点はこちら
駐車スペースや庭の必要性も
屋外の計画も必要です。駐車スペースの必要性として車の台数、そして庭の必要性を検討しておきましょう。
敷地が狭い場合には駐車場を建物の中に配置するビルドイン駐車場もありますが、駐車場とするには入口のため3m近い間口が壁が無いことになりますので、耐震性には不利であるため注意が必要です。
要望事項をあげてみる
デザイン・外観
まずはデザイン、という方もおられるかもしれませんが、デザインは流動的なものと考えてください。
たまに建物の形や窓の位置ありきで平面計画を行う設計者もいますが、あくまでも快適な生活を送ることが大切ですので、平面計画を進めながらデザインや外観を調整してもらいましょう。
とは言っても、大まかなイメージは最初に伝えておきましょう。例えば、
・「自然素材で造った素朴な家」
・「モダン和風の落ち着いた家」
・「シンプルでスタイリッシュ」
といったものでもいいですね。雑誌やネットで気に入ったデザインがあれば取っておいて、打ち合わせには持参しましょう。
構造(工法)
木造在来工法、ツーバイフォー、軽量鉄骨造、重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造といった構造や工法の種類です。好きなハウスメーカーがあれば構造は決まることが多いですが、特に無ければハウスメーカーも含めて構造にはこだわらないとしておいてもよいでしょう。
一般的には、注文住宅であれば木造在来工法が多く、ハウスメーカーに多い規格住宅・プレファブ工法であれば軽量鉄骨造が多くなります。
⇒構造・工法についてはこちら
耐震性
耐震性については建築基準法で最低基準が決まっていますが、あくまでも最低基準です。建築基準法では大地震(震度6強から震度7程度)でも倒壊しないことと位置づけされていますが、「倒壊」しないだけで「損壊」は生じることになります。
大きな地震が起こった際に、ほぼ無傷で済むのか、大きな損傷を受けてしまうかは建物の耐震性の余力によります。そのため、できるだけ損傷を受けないようにするためには建築基準法より更に上を目指さなければいけませんので、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)における耐震等級を参考にして計画を進めることになります。
最低基準でよいのか、またはできるだけ耐震性は上げておきたいのかを整理しておきましょう。
⇒耐震等級についてはこちら
日当たり・風通し
日当たりや風邪が通ることは当然必要な要素ですが、設計者によっては価値観の違いから重要視することもあれば、最低限とすることもあります。
しかし、日当たりと風通しという、このふたつの要素は健康で快適に住むためにはたいへん重要な要素ですので、窓の位置には配慮したいところです。
⇒窓の配置計画についてはこちら
間取り検討の要素
間取を検討していく際の大きな要素となるものです。
✧こだわりの動線計画
外せない動線計画があれば必ず挙げておきましょう。例えば、
・「玄関⇒リビング⇒階段といったようにリビングに入らなければ2階に行けないようにしたい」
・「キッチン⇔家事室⇔洗面所といった家事動線にしたい」
というような要望はよくあるものですね。
✧トイレの数・配置
トイレの数は2階までであれば、家族の人数にもよりますが2箇所が多いですね。トイレの位置は結構悩ましいものですので、最後に余ったスペースに、ではなく最初から考えておきたいものです。
⇒トイレの配置についての記事はこちら
✧階段の位置(リビング内or外階段)
階段の位置は1階の共有スペースと2階のプライベートスペースとの連絡経路です。生活スタイルに大きく影響しますので、しっかり検討しましょう。
⇒階段の配置の記事はこちら
✧ウォークイン収納の有無(玄関、キッチン、寝室近くなど)
収納のボリュームや配置も重要です。片付いた家になるかどうかは収納計画次第です。注意したいのはウォークインタイプばかりでは効率が悪く、動線計画上も使いにくくなるため、細かい収納も適宜考えるようにしましょう。
⇒収納についての記事はこちら
✧吹き抜けの有無
吹き抜けは開放感がある空間で、人気のある手法です。
しかし、その分床の面積が少なくなるため非効率となりますし、冬はエアコンが効きにくいことや高い位置の窓や照明の掃除も困難ですので、取り入れる場合は十分にデメリットも検討しておきましょう。
内装・外部の仕上げ
仕上げ材についてもこだわりがある方や勉強されている方であれば、ぜひ考えておきましょう。
特に決まっていない、またはまだ分からないといった時は、「維持管理がラク」「耐久性が良い」「できるだけ安く」といったことでも良いので、考えを記しておきましょう。
✧屋根や外壁の材料
⇒仕上げ材料についてはこちら
⇒外壁の材料についてはこちら
✧床材料
⇒無垢フローリングについてはこちら
✧壁材料
✧天井
設備のグレード・要否
✧ユニットバス(浴室)のグレードや大きさ
✧キッチンの型やグレード
⇒キッチンについての記事はこちら
✧浴室乾燥機や床暖房
✧太陽光発電システムの要否
バルコニー(ベランダ)の有無
バルコニーの利用は、通常は布団干しや洗濯物干しの場所ですね。それ以外では、
「敷地が小さいためバーベキューができる屋上ルーフバルコニーが欲しい」
「夕食後に夜景を見ながら晩酌ができるバルコニーが欲しい」
といったものもありますね。注意点としては「ルーフバルコニーは将来、雨漏りしやすい」ことです。
断熱性・気密性
断熱性能や気密性は高いに越したことはありませんが、品確法の断熱等性能等級といった、目安となる断熱のレベルもあります。
⇒断熱性能や気密性についてはこちら
要望書のひな型
ここまでの仕様について、要望書の様式にまとめましたのでご自由に使ってみてください。
まとめ
いくつかの業者に相見積をとる場合は、要望書としてまとまっていれば、何度も同じ説明を繰り返す必要が少なくなり、あなたにとっても大変メリットがあるということです。
また、色々と意見を聞いたり説明を聞いていると、当然要望内容に追加や変更も生じます。要望書に追加や変更を記載していけば、その都度自分でもチェックできますね。
少し面倒かもしれませんが、ご家族の意見や考えをまとめておく点でも要望書を作っておくととをおすすめします。
設計者によってはヒアリングシートを作成しているところもありますので、様式が既にあればこの記事と見比べてみて参考にしてくださいね。
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