はじめに

住宅の間取り計画では、トイレの計画は後回しになることが多いものです。

最後にデッドスペースへ「スポッ」と納めてしまう、といったこともあるかもしれません。

しかし、トイレは日常生活において1日に何度も使用する場所ですので、しっかり計画しないといけませんよね。

また、トイレで本を読んだり考え事をしたりと、トイレでの時間を「有意義に」使っている方もおられますよね(笑)

トイレスペースの価値観は人それぞれですが、毎日必ず使う場所ですので、動線をイメージしながら、きちんと計画しておきたいものです。

トイレはいくつあるのがベスト?

まずはトイレの個数ですが、これは家族の人数で考える必要があります。

目安は2~3人であればトイレは1つでも良いのですが、家族が4人以上となってくると、複数のトイレがないと使用時間が重なってきてしまいます。

家族が4人以上であれば、2箇所以上のトイレがないと、朝の時間帯はトイレラッシュとなって、使用時間が重なってしまうことが多いので注意しましょう。

トイレの個数は動線計画にもよりますが、2階建てであれば各階にひとつが標準です。各階が~100㎡程度であれば2箇所で十分ですね。

■3階建てでは・・・

3階建ての場合は、各階に配置できれば良いのですが、5~6人の家族でもトイレは2箇所で良いと思います。

また、スペースに余裕がないこともありますので、間取りにもよりますが、LDKのある階と、寝室のある階への配置が一般的ですね。

3階建てでも「二世帯住宅」とする場合、例えば1階が親世帯の住居で2階~3階が子世帯の住居であれば各階にトイレを配置する必要も出てきます。

■平屋は?・・・

平屋建てであっても家族が4人以上であれば利用時間のラップを避けるため、トイレは2つあった方が良いですね。

 

トイレの個数は家の広さよりも、家族の人数で決めた方が良いということです。

トイレの場所はなかなか難しい

トイレの位置は、実はなかなか難しいもので、正解は無いといっても過言ではありません。

間取り全体を考えていく中で、トイレばかりに気を使っていられませんし、かといって、トイレの場所をないがしろにしていると、失敗した!となってしまいます。

全体の間取りを考えながら、トイレの場所にも注意をしておいてくださいね。

トイレの場所選びは音が気になる

トイレの位置を考える時に、一番気になるのはではないでしょうか。気になる人は凄く気になりますよね。(気にならない人もいます?)

居室に隣接してトイレを設けると、壁を通して音が聞こえてしまうので、なんだか気が引けますね。

なるべく居室と直接隣接させずに、クローゼットなどの収納を介して配置すると、音はだいぶ軽減されます。

トイレと居室の間に収納を介する
トイレと居室の間に収納を挟む

また、「吹き抜け」がある場合は2階のトイレの配置も注意が必要です。

吹き抜けは、同じ空間で音が筒抜けになりますので、2階の吹き抜けに面したトイレは1階まで水を流す音が丸聞こえになってしまいます。

玄関付近は来客時に気まずい?

1階のトイレは玄関の近くに配置することもありますね。

動線上、帰宅時にすぐに入れる、出かける前に利用しやすいといったメリットもありますので、よく見かけるプランです。

デメリットとしては、トイレが玄関から見える位置にあると、玄関に来客の方がみえる際には、使用するのことに少々気を使いますよね。

来客時にトイレに入りにくいですし、トイレに入っている時には来客者が玄関に居ると、トイレから出にくいこともあります。

何より、「ジャー」というトイレを流す音が丸聞こえ⇒ガチャっとトイレから出てくるという一連の流れは、ちょっと恥ずかしいですね。

特に、玄関から真正面にトイレのドアがくる配置は避けたいものです。

脱衣場(洗面)からの利用は不可です

トイレは水周りを集めると配管が効率的になりますので、浴室や脱衣室の近くに配置することも多いと思います。

動線としても、脱衣室とトイレは近い方が使いやすいものですね。お風呂に入る前後にトイレへ、というふうに。

注意することは、脱衣場からの出入口とすると、家族が脱衣を使っているとトイレを使えないことになりますので、トイレへの出入口は廊下やホールから直接出入りできる配置としましょう。

洗面所を介してしかトイレに行けない図

階段下のトイレは天井高に注意

スペースに余裕がなく、トイレの位置が階段下となることもあります。

階段下はデッドスペースとなりやすいので効率的ではあります。

階段下のトイレの場合、注意することは天井高さです。

天井の高さが実際にどのくらいになるかを確認しておかないと、思っていたよりも低くて圧迫感があることや、ひどい設計では頭を打ってしまう高さだったということもあります。

階段下のトイレの例の写真
階段下のトイレの例

階段下にトイレを配置する場合は、必ず断面図や展開図などで、階段下の天井がどのようになるかを確認してくださいね。

トイレは、できるだけほかの水周りの近くに

トイレや浴室、キッチンなどの「水周り」は水道管や排水管の設置を効率的にするために、できるだけ近くに配置することが望ましいものです。

また、2階のトイレもできれば1階のトイレの上部付近が好ましいですね。

2階のトイレの配管で注意することは、排水管をメンテナンスのできない場所に設置してしまうことです。

排水管の位置は詰まってしまった時にメンテナンスが出来るように配慮が必要です。

基本的に、2階のトイレの配管は、

・直下の1階にPS(パイプスペース)という配管スペースを設ける

・外部に出して外壁面に配管を沿わせる

という、どちらかでないと維持管理に問題が生じます。

後者の場合は見た目が悪いため、人目につく外壁面であれば避けたいですね。

トイレの広さの目安は?

トイレの広さは、通常は畳1畳分が多いですね。1畳分だと有効幅は78cmで、奥行が約1.7mとなります。

面積に余裕があれば有効幅はもう少し大きくして1.1~1.2mとすれば手洗いやカウンターを設けても余裕があります。

逆に、面積に余裕がなければ、は78cmより狭くすることは困難ですが、縦の長さ(奥行)は縦から入るタイプのトイレであれば奥行を1.4m程度(窮屈には感じます)とすることは可能です。

トイレは(前方が)狭い方が落ち着く方もいらっしゃいますからね。

また、出入口についてですが、出入口を開き戸(ドア)とする場合、奥行が1.7mあれば入口のドアを内開きにすることも可能ですが、トイレのドアは外開きか引き戸にした方が良いものです。

これは、トイレ内の人が倒れてしまった場合、外から救助する際に内開きだと中の人が倒れていてドアが開けられないことがあるからです。

トイレの設計では鉄則です。

トイレの内装について

トイレの床材ではどんな選択肢がある?

トイレの床は手入れしやすい材料を選ばなくてはいけませんので、水気に強く拭き取り易いもの、アンモニア臭を吸収しにくいものを選びましょう。

■フローリングの床

フローリングの写真
フローリングの例

トイレの床をフローリングにすると、暖かみがあることや、廊下と一体性が出るといったメリットがあります。

しかし、フローリングは通常の居室と同じものでは湿気や濡れてしまうことで腐食したり変色もしやすく、臭いも吸いやすいのであまりおすすめできません。

小さいお子様が使う場合はやはり汚してしまう場合があると思いますので、よく考える必要がありますね。

フローリングにする場合は、表面に抗菌処理、耐水加工してあるものを選ふ必要があります。

ただ、表面処理してあるフローリングはどうしても安っぽく見えるものが多いので、サンプル(見本)を確認してみて検討してください。

■タイル系の床

タイル床の写真
タイル床の例

タイル系は見た目に清潔感があります。

少し広めのトイレにして、デザインにこだわりたい場合にもおすすめです。もちろんコンパクトなトイレでも問題ありません。

タイルでは磁器タイルセラミックタイルが適しています。タイルは水に強く、手入れがしやすいことに加え、臭いも吸いにくいため、トイレの床には最も合っているといえます。

タイル系を選択する場合は表面がツルツルしたものは手入れがしやすい反面、滑りやすいので注意してくださいね。

逆に、表面がザラザラしたものは滑りにくいのですが拭き取りがしにくいということです。

また、モザイクタイルのように小さなピースよりも30cm角などの大判サイズを選ぶ方が手入れはしやすくなります。

タイル系のデメリットとしては、冬は冷たいことですね。スリッパを履く場合はそれほど気にならないかも知れませんが、素足ではちょっと辛いかもしれませんね。

また、フローリングやクッションフロアと比べても、少しコストが上がることが多いです。ただし、トイレの床は面積が小さいので、大きな負担にはならないですね。

■クッションフロアの床

クッションフロアの写真
クッションフロアの例

クッションフロアは費用が安く、抗菌や防水加工したものがあります。

デザインも色々選べますので、安く抑えたい場合はおすすめです。

しかし、クッションフロアは表面処理してあるといっても耐久性がありません

そのうち表面が擦り切れてきたり、破れてくることになります。特に、便器の前の足元のスペースは傷みが顕著に現れます。

また、やはり安っぽく見えてしまうのは仕方ないですね。

ただし、クッションフロアは自分でも貼り替えしやすい材料ですので、古くなってきたらDIYで貼り変えることも比較的容易です。便器を取り外すのはちょっと面倒ですけどね。

トイレの壁の材料は?

モザイクタイルの壁の写真
モザイクタイルの壁の例

壁の材料は床ほど注意することはありませんが、床と同じく水分や臭いには注意が必要です。

クロスや木の羽目板など、内装材ならなんでも使用することはありますが、表面は拭き掃除がしやすいものを選んだ方が無難です。

特に、便器や手洗いの近くは水気が多いため、カビなどの汚れが目立ってきます。

そのため、床から高さ1.2メートル程度までの腰壁をタイルやキッチンパネル(化粧ケイカルやメラミン化粧板)といった掃除がしやすい材質にすることも有効です。

手洗いカウンターやキャビネットは必要?

トイレを少し広めにする場合は、メーカーが出している既製品の手洗いカウンターやキャビネットがあります。

メーカーのもの(既製品)は結構高価ですよね。ちょっとしたカウンターだけでも5~6万円もしますし、キャビネット付きだと10万以上もします。

しかし、費用が高い割には、そんなに品質の良いものには見えないものが多いです。

抗菌や耐水性はあるのでしょうが、いまいちデザインもよろしくなく、正直、少々安っぽいものも多いです。

カウンターが必要であれば、既製品でなく造作(造り付け)で作った方がこだわることができますし、キャビネットも必要ならトイレ用でなくても色々ありますからね。

トイレに窓は必ず必要です!

トイレには必ず窓を付けてください。

実は、建築基準法ではトイレには換気のできる窓の設置が必要ですが、例外として、換気扇を付ければ窓が無くても適法になります。

しかし、湿気がたまることや臭いもあることから、小さくても窓を付けて、窓による換気をする必要があります。

トイレのような水廻りは、換気のためには窓は必須です。

バリアフリートイレ

高齢の方や足腰が弱い方がいらっしゃれば、バリアフリータイプのトイレも検討が必要ですね。

公共の建物では、バリアフリートイレは大きさや設備が細かく規定されていますが、ご家庭では使う人に応じて、広さや設備を考えましょう。

ただし、スペース的にも難しい場合があると思いますので、設計者とは細かく打ち合わせをして、使う人にとって少しでも使いやすい配慮が欲しいところです。

■手すりは必ず必要

バリアフリートイレには手すりは必須になります。高齢者にとって座ったり立ち上がる動作も一苦労になってきますので、手すりで体を支えることが多くなります。

一般的にはL型の手すりをサイドの壁に設置することになります。

■トイレの広さ

一般的なトイレの幅は78cm程度ですが、これでは狭くて使いづらいことになります。

高齢者が使用する場合でも有効幅では1.2m程度は確保する方がいいですね。

介護する場合は大人2人が中に入るため、できるだけ中のスペースを広めにとる事です。

車椅子で使用するためには最低でも横幅は1.5m、縦幅としてはトイレの前方に1m(車椅子の転回範囲)のスペースは必要です。便座付近で車椅子が回転でき体を横移動するスペースが必要になってくるんですね。

■出入口のドア

バリアフリータイプとするには、出入口にも配慮が必要です。

トイレは開き戸としている事が多いと思いますが、引き戸とする方が使いやすいものです。

特に、車椅子の場合は開き戸では出入りが困難ですので、引き戸にするようにしてください。

また、入口の位置は縦に入るタイプが多いのですが、横から入る方が体の移動や動作が少なくなり、入って目の前にL型の手すりがあるため、使いやすいといえます。
縦から入るトイレと横から入るトイレの図

入口の有効幅も大切で、特に車椅子に乗って出入りするには有効幅は80cm必要(最低でも75cm)となってきます。

なお、出入口には段差が無いように、廊下からトイレはフラットにしておかなくてはいけません。

■その他の考慮しておく事柄

他にもトイレの中で倒れてしまった際に、外にいる家族を呼ぶための警報装置(インターホン)もあった方がいいですね。

照明も、一般的にはトイレはそんなに照度は要らないのですが、バリアフリーとなると明るくする必要も出てきます。

また、ヒートショックを防ぐためにもホット便座はもちろんのこと、床暖房や暖房設備も検討が必要です。

まとめ

たかがトイレ、されどトイレです。

色んな検討事項がありますね。

1日自宅に居ると、日に5回から10回以上も利用することもあるトイレです。

特に、1階のトイレは利用頻度も多く、お客様が来られたら使って頂くこともありますので、使いやすくて快適な場所にしたいところです。


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